昨年県内の小学校に日造協会員施工の芝生のグラウンドを持つ学校が誕生し、注目を集めています。施工された会員さんに紹介していただくことにしました。
松本市の西部に位置する芝沢小学校はその校名に因み30年前の開校時から校庭には芝生が張られ、また、白樺や桜等の風情のある木々も配置され、児童達は緑に囲まれて学校生活を過ごしていました。
今回、PTAの方々から「30周年の記念事業で老朽化した校庭の芝生の張替をしたい」と相談があり、当社が施工することになりました。
話をお聞きすると、PTAの役員の方が知人を頼りに何社か見積依頼をしたが、予算が限られており、土壌改良と芝の張替のみで灌水設備までは手が回らないとのことでした。
当社では、小学校のグラウンドは、朝の時間、休み時間、体育の授業、放課後、また休日の地域の早起き野球、リトルリーグ、サッカーの練習等に使用され芝生にしてみれば大変過酷に使用されるわけで、どうしても充分な灌水設備が必要という経験上の話をさせて頂き、理解して貰いました。
理想の灌水設備はポップアップ式のスプリンクラーですが、芝沢小学校では予算の関係からグラウンドの北側を通っている農業用水からグラウンドまで取水の配管をし、ワンタッチ着脱式のスプリンクラーを設置して、灌水時には、ヘッドを取り付け終了時に外して蓋をするという簡単な方法を提案し、経費の圧縮を計ることにしました。
また、業界としても、この事業を普及させるために協力するとともに、芝張りには、PTAや生徒さんにも協力していただき経費の圧縮を計りました。
6月上旬から既存芝剥ぎ取り、灌水設備の配管、土壌改良とすすめ6月19日には4年、5年、6年生が交替で芝張りの作業に参加しました。説明を受けて、言われた通りに協力して芝生を並べる子、自分たちの張った芝生の上を転がる子と様々でしたが嬉しそうな笑顔は共通でした。梅雨入り前の大変乾燥した時期の芝張りでしたが、スプリンクラーで毎日均等で充分な灌水ができ、2ヶ月後の夏休み明けには使用ができるようになりました。
丈夫な芝生を実感したのか以前にはなかったサッカーゴールをセットし、中学生のサッカーチームも練習に来るようになりました。
今回芝沢小学校ではトラックの内側の1340uを張替、半径12mに灌水できるスプリンクラーヘッド4本を設置しましたが、風のない日には充分に灌水ができています。農業用水を使用するために多少の砂あるいはゴミなどがスプリンクラーのヘッドに水と共に運ばれてしまいます。そのため穴が詰まらない工夫もしました。
PTAの熱い願いのおかげで、子供たちは朝昼夕と一日中、芝生の上で元気に飛び回り、笑顔が広がっています。
芝生のグラウンドは多くの人々が望むにもかかわらず維持管理の予算が確保できないために地域や学校のグラウンドの緑化が遅れていることは大変残念なことです。このため、芝沢小学校ではPTAが主体となって、業界も協力して維持管理にあたりますが、近い将来はPTAや造園業界も参画したNPO法人を立ち上げて維持管理にあたり、維持管理の新しい形態を見つけて行きたいと考えております。
(長野県支部) |