生きもの扱う造園の考え方 造園近自然技術
第3章 造園近自然施設提案のために
造園近自然技術を適用して、目標とする空間を実現させるためには、生物多様性と用と美に留意して、様々なディテールを駆使する必要がある。 造園近自然技術において提案する施設を、仮に造園近自然施設とする。造園近自然施設とは、いわゆる造園工事における施設工事と植栽工事を含むものとし、 空間的目標を達成するために、用いられる技術的対象を示す。本稿では、施設と技術をセットで提案していくことを主要目的としている。
1)主な計画対象の整理
主となる計画対象を以下に整理する。
公園・里山 | 河川・湖沼 | ||
ボキャブラリー (イメージ・語彙) |
造園近自然技術 太陽、月、星、人間、四季、再自然、エコロジー、自然との共存、生物多様性、美、快適さ |
多自然型川づくり | |
空 間 系 |
スペース(空間) 生息場所(biotope) |
海、湖、山、空、里山、公園 | 河川、小川、三日月湖、氾濫原 |
コンポーネント(構成要素) 生息場所(biotope) |
森、林、広場、雑草地(原っぱ) | 沿岸帯植生、川、川原、扇状地、河畔林、湿性草原 | |
施 設 系 |
アセンブリー(部品の集合) 小生息場所(habitat) |
園路、道路、駐車場、流れ、池、園地 | 堤防、土手、河川敷 |
ユニット(装置の単位) 小生息場所(habitat) |
植栽、護岸、モニュメント、石組、石積、丸太積 | 落差工、伝統的河川工法、植栽、護岸、水制、石積 | |
パーツ(部品) 微生息場所(micro-habitat) |
木、芝、草、舗装、縁石、ベンチ、スツール、屑入れ、階段、園名板、標識、棚、土留、公園灯、給排水施設 等 | 石、木、草、芝、丸太、蛇かご | |
マイクロパーツ(小部品) 超微生息場所(super-micro-habitat) |
枯枝、枯葉、小石、砂、木片 | 枯枝、枯葉、小石、砂、木片 |
2)造園近自然の概念図
舗 装 |
段 差 |
植 栽 |
護 岸 |