美しい街路樹を守り育てる 「街路樹剪定士」

■ いま、求められるスペシャリスト

 現在、街路樹剪定に求められるのは、これまでの対処的な剪定のみならず、長期的かつ総合的な計画・実行・メンテナンス能力を有したスペシャリストの存在であるといえます。そうした人材育成のための留意点として、下記の項目があげられます。

 ・剪定の基本を守る

 ・樹木の特性を考慮した剪定

 ・その木らしい樹姿を創出

 ・並木の統一美を表現

 ・樹木と生育環境を考慮した剪定
イチョウ(横浜山下公園前)
トウカエデ(兵庫県芦屋市) ユリノキ(千葉県八千代市)

■ 「街路樹剪定士」とは

「街路樹剪定士」は、”美しいまちの顔 街路樹”を守り育てる専門家です

 美しい街づくりにおいて、欠くことのできない街路樹剪定。その剪定基準を明確にし、技術力をさらに向上させるために、日本造園建設業協会では1999年に「街路樹剪定士認定制度」を発足させました。

  これは、当協会が行う資格試験に合格した者に対して「街路樹剪定士」の資格を認定するものです。認定された街路樹剪定士は、樹木の生理・生態や街路樹に関する専門知識と、伝統的な職人芸とも言える技能を併せ持ったスペシャリスト。ひとりひとりが、街路樹の美観を維持し、機能・効用を最大限に発揮させるために必要な能力を充分に備えています。

■「街路樹剪定士」に求められる能力

・街路樹に関する包括的な視野 景観向上、生活環境保全、緑陰形成、交通安全、自然環境保全、防災機能などの包括的な検討と、それに伴う計画立案
・剪定 剪定に関する基礎知識と、その診断能力、対策立案能力、実行能力
・病害虫 病気や害虫に関する基礎知識と、その診断能力
・植栽基盤整備 設計・発注・施工・維持管理に関する基礎知識と、その診断能力
・安全衛生管理 労働災害・安全関係法令・安全対策に関する基礎知識と、その診断能力、対策立案能力、実行能力

■ 「街路樹剪定士」の仕事

街路樹の健康と美観を守り育てることが、「街路樹剪定士」の仕事です

 街路樹の剪定は、伸びた枝をただ切り落とすだけでは充分とはいえません。街路樹の機能を充分に理解したうえで、その効用を最大限に発揮するよう適切な剪定をすることが必要です。

  樹木は種類によって適した土地や成長・形態の特性が異なり、剪定に適した時期や手法もさまざまです。

  また、それぞれの樹木には個体差があり、限られた都市空間においても常に成長し続けます。しかも、1本1本の樹木が端正に整えられていても、全体としての連続性・統一性がとれていなければ美しい街路樹とはいえません。

  こうしたさまざまな要素や条件を踏まえたうえで、樹木の健康を守り、美しい景観を維持することが、街路樹剪定士の仕事です。樹木の生理・生態に関する豊富な知識と卓越した技術と技能を駆使して、優れた街路景観を創出・維持する役割を担っているのです。

≪樹形再生の実際例(イチョウ)≫
(落葉期)  
(展葉期)  

■ 「街路樹剪定士」の活躍の場

さまざまな発注機関に採用され地域の景観形成にかかわっています
     

 環境問題が大きな関心を呼び、身近なみどりに安らぎを求める現代、街路樹の役割はますます重要になっています。これからの街路樹は、快適で美しい都市空間を創りだすことはもちろん、環境改善や多様な生きものの生息するみどり空間として、さらに防災機能など、人々の暮らしに欠かすことのできないさまざまな重責を担っています。

 こうしたことから、適切な街路樹の剪定に向けて、さまざまな発注機関が街路樹剪定士の採用をはじめています。詳しくは日造協本部またはお近くの支部へお問い合わせ下さい。

ケヤキ(東京都表参道) イチョウ(東京都北青山)
ページトップへ戻る
COPYRIGHT(C)2004- JAPAN LANDSCAPE CONTRACTORS ASSOCIATION.ALL RIGHTSRESERVED.