雲仙は、昭和9年3月16日、瀬戸内海や霧島屋久とともにわが国で最初の国立公園に指定された。また、昭和3年3月には、「温泉岳(現在は雲仙岳と書く)」は史蹟名勝天然記念物保存法によって名勝地に指定され、同時に5個所の天然記念物が指定された。その後、昭和27年3月には、文化財保護法によって「特別名勝地」に格上げされ、東の「富士山」と西の「温泉岳」の2つが特別名勝地として誕生した。
また、「温泉山」は歴史的にも古く701年に名僧行基が創建開基した大乗院満明寺の山号で、当時壱千の僧坊を持ち、比叡山、高野山とともに天下の三名山と称された。
雲仙天草国立公園の核心をなす雲仙岳は、長崎県の南東部に突出する島原半島の中央部に位置し、普賢岳(標高1359m)を主峰とする十に近い山々からなった集成火山の総称でその規模は、東西10q南西15qにわたっている。
普賢岳は、平成2年11月、198年ぶりに有史以来3回目の噴火をはじめ平成7年5月火山活動を停止した。
その後、地元では噴火災害地の自然利用や災害復旧の方策について官民一体となって検討会を開催し普賢岳一帯の自然利用を一日千秋の想いで待ち望んでいた。
環境省では、国立公園の核心地域である雲仙において、普賢岳の噴火災害で荒廃した国立公園区域一帯の自然環境の修復と、人と自然のふれあいの場づくりを目指して「緑のダイヤモンド計画」を策定し、平成9年度から7ヵ年計画で環境省と長崎県が各々の事業を分担し事業主体となって推進してきた。
また、本計画は、長崎県島原地域再生行動計画「がまだす計画」の重点プロジェクトにも位置づけられ、長崎県と協調を図り計画的に事業の推進が図られてきた。
既に完成し供用している自然公園施設は2つで、北雲仙地区の「田代原自然体験フィールド」では、キャンプ場・トレイルセンター・普賢岳周辺の登山道・探勝歩道・自然解説などが完成。南雲仙地区は、国民休暇村として昭和50年にオープン。いつでも、誰でも気軽に利用できるレクリエーション施設として、ビジターセンター・自然游歩道・野鳥観察舎・園地などが完成。東雲仙地区(島原市)は、平成5年6月、北東側の大火砕流の直撃を受けて火山灰などで埋没した垂木台地を含めた一帯を「平成新山(普賢岳の愛称)体験フィールド」として溶岩ドームや火砕流跡地の景観と周辺の自然復元の状態を含めて間近に観察し体験し学習できる施設として、平成新山ネイチャーセンター・県道からの取付道路・自然観察歩道・休憩所・駐車場が完成。雲仙温泉集団施設地区及びその周辺においては、園地広場・休憩所・散策歩道・登山歩道などが完成。現在施工中の施設として、高部湿原で天然記念物「原生沼沼野植物群落」の自然復元・ビジターセンター建設など重要な施設が本年度完成する。
工事は、県内の造園工事業者・土木・建築業者によって進められ自然公園施設としてほぼ完成し既に供用され自然利用がはじまっている。自然とふれあい自然のしくみを知り自然を愛する心を育み自然と共存できる付き合い方を身につけ子供たちに働きかけていくことは大きな責務ではないだろうか。雲仙は精妙な自然と雄大な展望を持ち、古い歴史を持ち、優れた設備がある街。時代時代にさまざまな様相を見せつつ国際観光地として生き続けることでしょう。
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