広報 日造協 2003年8月10日 第353号

■3面
【ふるさと自慢】 第35回 徳島 阿波紀行 楽園から未来へ
【造園事例技術紹介】 No.1 みどりの学校
事務局の動き
1面 2面  3面 4面 見出し

 

【ふるさと自慢】 第35回 徳島 阿波紀行 楽園から未来へ

 徳島の人間は、根は悪くないのだが口下手で、自分の感情を素直に表現できない。自分自身では良く分かっているのだが、どうしても後手に回ってしまう所がある。その気性の大きな要因は、自然の豊かさにあると、県出身の写真家、三好和義の「楽園」をみてそう思った。己自身が自然となって、俗世から離れた世界に溶け込んでしまうのである。

 関西方面から、大鳴門橋を渡って徳島に入ると、眼下には渦潮の絶景が広がる。かつては観潮船から眺めたものだが、本四架橋が完成してからは、真上から見おろせるようになった。ただし、橋上は駐停車禁止である。徳島に入って、阿讃山脈に沿って西に行くと、四国八十八ケ所霊場の一番札所、霊山寺がある。発心の寺であり、四国に住む者にとって永遠の命題である遍路のスタート地点である。かつて弘法大師が開かれた足跡を辿ることは、なぜ人が空間を移動するのか、移動する際にどういうルートを辿るのか、といった人間行動の原点を探ることであり、大変興味深い。

 吉野川に沿って西へと進むと、川の北側の阿波町に土柱がある。文字通り浸食された土が柱状に並び、トルコのカッパドキアを思わせる奇景である。南岸に渡り、もう少し西の三加茂町には、国指定の特別天然記念物「加茂の大クス」がある。平野の中にポツンと佇むその偉容は、見る者を圧倒する。平野に独立して存在する巨樹は、全国的にも稀である。

 さらに川を上ると、四国のヘソ池田町に達する。「攻めダルマ」蔦文也監督で名を馳せた池田高校は、町の中央部の丘の上にある。急崚な西山で足腰を鍛え、狭いグラウンドを駆け回った子供たちが、大海(甲子園)で大暴れする姿は、今でも脳裏にふつふつと沸き上がってくる。ふと川面に目をやると、夕陽を一杯に浴びながらかんどり船がこぎ出している。三好和義氏の、「藍色の楽園。ぼくのふるさと。」の言葉を思い出す。

 ここから吉野川は川幅を狭くしながら、違った顔を見せ始める。大歩危・小歩危の景勝を横切り、山へ入ってゆくと「祖谷のかずら橋」がある。かずらを編んで作った吊り橋で、ゆらゆらと揺れながら渡り切るには、少し勇気が要りそうである。朝露にかすむ橋は、絶好の被写体でもある。

 祖谷から剣山を目指す。ふもとの大剣神社から上は、徒歩またはリフトである。ここまで来たからには徒歩をお勧めする。細く険しい山中を歩いてこそ、山頂に立った時の喜びは大きい。この感情の変化こそが我々の行動の原動力であり、生きる源である。そしてそれは、造園と景観を考える上での原点でもある。山頂のクマザサを見て初めて、この貴重な自然を護るべき責務を感じる。楽園より出て、自己の原点を探り、未来への展望を拓く所、それが徳島である。同行2人、ここまで御加護いただいた弘法大師に合掌。

 

剣山
祖谷渓・祖谷のかずら橋
土柱

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【造園事例技術紹介】 No.1 みどりの学校

 文科省をはじめとする行政の対応も進み、校庭の芝生化への取り組みが本格化している。このため、通常総会の席上、校庭緑化について林氏が紹介を行った。

1 現状と課題
 校庭に芝生を張った学校数は全国で243校。北海道58、沖縄25、秋田23、山形
・福岡13―校と、2桁に上る都道府県もあり、36都道府県ですでに実施例がみられ、ここ数年平均で30〜40校で毎年芝生化されている。
 校庭の芝生化促進計画でも運動場は、「子どもから高齢者まで地域住民の誰もが、いつでも楽しく安全にスポーツ活動が親しむことを通じて心身の両面にわたる健康の保持・増進を図ることができる場として、地域の実態に応じて芝生化を促進すること」とされている。
 全国の小中学校は約3万5000校であり、年30校ペースで100年以上、現在の10倍の事業量でも10年を超える市場となり、維持管理も期待できる市場となる。

みどりの校庭による効果
 校庭の芝生化による効果はさまざまなものが期待できるが、大きく 運動機能の向上と環境教育の場として 砂塵の飛散防止 ぬかるみの防止 ―― が上げられる。

3 みどりの校庭を導入するために
 校庭を芝生化するのポイントは、@植栽基盤整備 A芝草の選択 Bメンテナンスである。利用度も極めて高いものといえるので、それに耐え得るしっかりした基盤と、踏圧、病害虫、気候などにも配慮した芝草の選定が不可欠といえる。

4 メンテナンスについて
 事例に関するメンテナンスについては、「6のメンテナンス状況」でこれまでに行ってきたメンテナンスについて触れるが、良好なコンディションを維持するには、利用も含めた運用全体から、メンテナンス計画を立て、専門家やPTA、さらには児童・生徒、職員の協力によって、柔軟かつ積極的に取り組むことが大切だ。

5 着工から完成までの流れ
 基盤整地 砕石敷均 混合土敷均 土壌改良材攪拌 転圧 不陸整正 ブレンド芝、芝張 G目土

6メンテナンスの状況
 施工1カ月後はまだ落ち着いた感じとはいかないが、
施工2カ月後になると、芝生のランナーが伸びはじめ、引渡し前(写真)に一面芝刈りを行った。9月に入った新学期からは芝生化した校庭で、体育の事業、スポーツ少年団での使用が始まった。
 これまでに行った作業は、@施肥 A目土で、ともにPTAの方々が中心となって実施されました。
 芝生化された校庭のメンテナンスは専門家が行うのがもっとも確実といえる。しかし、運営も含めた専門家への依頼は、厳しい財政や一般的なわが国の感覚として、維持管理に関する理解不足、緑化(芝生化)価値認識の低さから、事業的に取り組むのは難しい。このため、芝生化の価値を高め、専門家による適切な管理を希求する社会となることが求められるが、現状では困難。このため、PTAや教職員、行政担当者などと連携し、モデルとなるような適切な芝生の校庭を実現・維持。更なる普及と事業化され、常に美しく安全な芝生の校庭であり続ける社会の実現が望まれる。

 (社)日本造園建設業協会 みどりの学校特別研究会・林 忠次((株)グリーンシェルター)

通常総会の席上、技術紹介を行う林氏 引き渡し前の芝生の様子

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●事務局の動き

【5月】
3(土)・ 淡路佐野運動公園開園式
7(水)・ 兵庫県支部総会
IFPRAジャパン総会
8(木)・ 国交省に対する協会の事業活動概要説明
8(木)・高知県支部総会懇談会
9(金)・ IFPRA世界大会組織委員会理事会
13(火)・ 全国都市緑化祭(大分)
13(火)・ 褒章伝達式
14(水)・ 事業委員会(在京)
15(木)・ 日本公園緑地全国大会(栃木)
15(木)・ 四国総支部総会
15(木)・ 建設産業教育センター参与会
19(月)・ 教育訓練協議会・教育訓練協会総会
20(火)・ 道路緑化保全協会総会懇談会
21(水)・ エコグリーンテック開会式(21〜23日)
21(水)・ かながわみどりを創り、育てる集い
21(水)・ ランドスケープコンサルタンツ協会懇親会
22(木)・ 日本公園施設業協会総会懇談会
22(木)・ 造園連創立30周年記念祝賀会
26(月)・ 事務局長会議(建設業振興基金)
26(月)・ 茨城県造協緑化懇談会
27(火)・ 厚生年金基金理事会
27(火)・ 公園緑地管理財団評議員会
27(火)・ 中小企業団体中央会総会
28(水)・ 都市緑化基金理事会
28(水)・ 都市緑化技術開発機構理事会
28(水)・ 総務委員会(在京)
28(水)・ 日本水景協会総会懇談会
29(木)・ 広報協議会総会
29(木)・ 会計監査
29(木)・ 埼玉県支部・組合総会
30(金)・ 構造改善推進全国大会
30(金)・ 日本公園緑地協会通常総会
30(金)・ 優秀施工者大臣顕彰式
30(金)・ 日本緑化センター理事会
30(金)・ 新潟県造協総会
30(金)・ 山梨県造協総会
30(金)・ 日本造園修景協会懇親会

【6月】
3(火)・ 建専連総会及び懇親会
5(木)・ 総支部長・支部長合同会議(大分)
5(木)・理事会・懇親会(大分)
6(金)・ みちのくグリーンサム物語(6〜8日)
6(金)・ おおいた緑化フェア現地視察
11(水)・ 都市緑化基金理事会
11(水)・ 中央職業能力開発協会総会
12(木)・ 雇用・能力開発機構ヒヤリング
13(金)・ 国交省と建専連定例意見交換会
19(木)・ ランドスケープ交流会 in 札幌(19〜20日)
19(木)・ 日本花普及センター理事会 
19(木)・ 建設関係公益法人協議会総会
23(月)・ 日造協通常総会・懇談会
24(火)・ 民間都市開発推進機構理事会
24(火)・ 関東地方整備局幹部との意見交換会(建専連)
24(火)・ 広報部会
24(火)・ フラワーツーリズム推進協議会理事会
25(水)・ まちづくり月間中央行事
29(日)・ おおいたフェア閉会式

【7月】
8(火)・ 広報日造協編集会議
10(木)・ 建設功労国土交通大臣表彰
10(木)・ 事務局長会議(建設業振興基金)
15(火)・ 全技連マイスター事業説明会
18(金)・ 佐賀県造協総会
22(火)・ 総務委員会(全国)
23(水)・ 事務局長会議(建設業振興基金)
23(水)・ 自然公園大会(茨城)
24(木)・ 建退協評議員会
25(金)・ 入札・契約報告会
25(金)・ 建設産業人材確保・育成推進協議会全国大会
29(火)・ 事業委員会(全国)
29(火)・ 広報日造協編集会議
30(水)・ 技術委員会(全国)
30(水)・ 都市緑化基金懇談会

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