INDEX

広報 日造協 2006年3月10日 第384号

1面

第32回全国造園デザインコンクール
 文部大臣賞に 長野県 須坂園芸高校

 各賞授与の後、懇談会開く 

 

春の都市緑化月間
 4/1 〜 6/30各地でイベント


【樹林】
 「花(はな)・彩(さい)・祭(さい)おおさか2006(にせんろく)」開幕

  第23回全国都市緑化おおさかフェア実行委員会事務局 事務局長 長田  昇

2面

第32回全国造園デザインコンクール
 審査委員・講評

  

3面

【総・支部だより】 

 意見交換会や今後の環境緑化講演会を開催    北陸総支部

 雪との共生ピンチをチャンスに            秋田県支部

 

【事務局の動き】

4面

【総・支部だより】
 
 奈良県の「梅便り」大和郡山市盆梅展       奈良県支部
  「鈴の音よ響け」遍路の道に樹木とベンチ     四国総支部
  「街路樹剪定士」の研修会・認定試験実施     千葉県支部

 

【緑滴】

 西武造園 設計技術部  大嶋 聡 

 

1面

 

第32回全国造園デザインコンクール
文部大臣賞に 
長野県 須坂園芸高校
 

あいさつする成家会長

  当協会主催の第32回全国造園デザインコンクール表彰式が2月6日、東京・千代田区麹町の弘済会館で行われた。今回から新たに国土交通大臣賞が設けられ、明治大学の山本多恵さんが受賞。最も優れた指導力を発揮した高校に贈られる文部科学大臣奨励賞を長野県須坂園芸高等学校が受賞したほか、(社)日本造園建設業協会長賞を長野県須坂園芸高等学校の福澤篤史さん、(社)ランドスケープコンサルタンツ協会長賞を兵庫県立淡路景観園芸学校の大西郁さん、全国高等学校造園教育研究協議会長賞を群馬県立勢多農林高等学校の石井祐子さん、神奈川県立中央農業高等学校の島田冴さんが受賞した。今回は、新設した公共的空間部門に22点の応募があったほか、住宅庭園、街区公園、実習作品(高校生のみ)の4部門に対して、応募対象ごとの一般2、大学110、高校299の3部門411作品が寄せられ、大臣、各会長賞を含む入選19点、佳作10点、奨学賞25点が選ばれた。
 表彰式は冒頭、主催者を代表して、成家次男会長があいさつ。「審査会は一日中立ちっぱなしで行われるハードなものだが、素晴らしい作品をじっくりみることができ楽しくもある。しかし、それぞれ力作で選びきれなかった作品を思うと審査は辛い。改めて応募くださったすべての方々に御礼を申し上げたい。コンクールは協会の重要な事業の一つで、今回から国土交通大臣賞や公共的空間部門といった新たな側面が加わった。時代の変化を踏まえながら、今後もより一層充実したコンクールとなるよう務めていきたい」と述べた。
 次いで、湊公夫文部科学省初等中等教育局参事補佐官が、「作品づくりには造園のみならず、社会性など幅広い知識が必要となる。文部省は生きる力を育てるため各種施策を講じているが、コンクールはこうした力を伸ばす格好の機会。年々応募校、応募者も増加しており、より多くの学校の参加が望まれる」と祝辞。続いて西川嘉輝国土交通省都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室長が「歴史のあるコンクールに今回から参加させていただいた。学生を中心とした他にはない貴重なコンクールで、教育、業の理解の上でもその意義は大きく、受賞者の方々は特に励みになると思う」と祝辞を述べた。
 審査報告では、藤井英二郎千葉大学園芸学部教授が、「造園空間は生活に根ざしたものであり、日常生活をしっかり考えないと設計できないため、日頃の取り組みが大切」などと講評。
 その後、各賞の表彰状と楯の授与が行われ、記念撮影、懇談会を開催した。

各賞授与の後、懇談会開く 

 

受賞者、審査員らで記念撮影


  全国デザインコンクールの懇談会では、忌憚のない意見が交わされ、西川室長が高校生の作品は総じてレベルが高く、大学生の作品はばらつきがあるといえる。山本さんの作品はデザイン力が高いが、さらに施工性も考えられるとなお素晴らしいとエールを贈った。
 そのほか、水を使ったものが多くあるが管理は大変。その辺を踏まえた設計も大切。高校の部で先生の影響は大きく図面にあわられる。スケール感が重要。造園は管理を含めた4次元の世界。実施設計とは異なるがそれを踏まえた作品に期待――など、審査委員各氏からさまざまな意見が述べられた。
 また、受賞者の須坂高校の西澤先生は、実習を中心に頑張っている生徒の作品が高く評価されており、図面に現れてくるものなのだと実感したと語った。
 コンクールに当初から参加している小板橋二三男全国高等学校造園教育研究会監事は、「当時の日造協・成家銀次郎 会長にお願いし、スタートしたコンクールで、32回を数えることとなり感慨深い。住宅庭園で敷地の中で自由に建物を配置するなど、これまで提案型での募集も考えてきたが、デザイン力の面から審査するには同一条件が望ましく、そうした形での募集となっており、今回の住宅をよく見ると、2世帯住宅であることがわかる。周辺環境など、デザイン以前の構想力も大切。また、夢がないといけない。説明文もあるが、絵の持つ力は大きく、夢を伝えられる表現力をつけて欲しい」との旨を語った。
 今回から表彰式に参加した(社)日本造園学会からは、島田正文常務理事が「学会は昨年、造園に関する″研究″だけだった定款に″技術″を加え、実務などより開かれた学会への対応を進めている。高校に対する学会の取り組みも遅ればせながら進めており、コンクール等を機に、継続教育の造園CPD、RLAなどの制度とも連携した造園全体の取り組みとしていきたい」と述べた。

春の都市緑化月間
4/1 〜 6/30
各地でイベント

  春季における都市緑化推進運動が4月1日から6月30日までの3カ月間にわたって全国各地で展開される。運動は、4月29日のみどりの日を中心に行われ、緑の愛護の集いや都市緑化基金等への募金活動が行われる。

【樹林】
「花(はな)・彩(さい)・祭(さい)
おおさか2006(にせんろく)」開幕

第23回全国都市緑化おおさかフェア
実行委員会事務局
事務局長 長田  昇

 大阪市では、平成2年(1990年)鶴見緑地において「自然と人間との共生」をテーマとした国際花と緑の博覧会が開催されました。その後、花の万博の理念を継承する施策として、「まちの緑化(緑化事業)」と「ひとの緑化(緑化のための人材育成)」を積極的に進めてきたことにより、公共空間や民有地の緑化が着実に進んでいるほか、緑化リーダーやグリーンコーディネーターといった人材も市民の中から着実に育ってきています。しかしながら、経済のグローバル化や地方分権へと向かう大きな潮流と、市民の環境への意識が高まる中で、都市緑化にも変革が求められる大きな時期を迎えています。
 このため、大阪市は平成15年から行政はもとより経済界や市民、NPO等が一体となった「花と緑のまちづくり」に資する事業展開をおこなってきました。
 「第23回全国都市緑化おおさかフェア」は、これを先導する役割を果たし、そこに住む人にとっても訪れる人にとっても魅力的で個性的な街となるよう、水と光・花や緑を活かしたまちづくりの歴史、そしてそれらにより培われた文化や伝統をも取り入れながら、街の緑化が都市に活力や賑わいを与え、大阪が持つ花と緑のストックや「まち」「ひと」の緑化の成果を活用し、大阪再生の契機となる取り組みとして開催するものです。
 主会場である大阪城公園は、堀や石垣、芝生、林地など既存の景観を活かしながら、4つの地区に分けて展示等を行います。特に有料区域の西の丸地区は「文化と庭園のゾーン」、二の丸北地区は「こころと林のゾーン」として、主催者展示庭園や国土交通省出展庭園をはじめ、全国自治体・企業・団体・市民参加等による花壇や庭園を展示します。西の丸地区にある大阪迎賓館では、テーマ館「おおさか館」として大阪の伝統文化から花と緑のまちづくりを考える「大阪力」を紹介します。本丸地区と大手前・城南地区は無料区域とし、学校緑化紹介や市民が制作した花飾り、花と緑あふれる空間での物産店や観光案内、自然体験教室などを行います。
 さらに、市内全域を対象に企業や市民のみなさんがボランティアに取り組んでいる公共施設や公園、街路や民有地などを「まちなか会場」として位置づけ、日頃の緑化活動を紹介する場とすることで各地域での自主的な花緑活動をより一層盛り上げ、市民・企業・行政とのネットワークづくりなど、市民のみなさんの活動を支援する仕組みづくりへとつなげていきます。
 本フェアは、現在あるポテンシャルを十分に活かし、大阪に住む人だけでなく、大阪に関わるすべての人々、即ち大阪人が主役となって、まちを舞台に多彩な緑化活動を繰り広げ、花と緑、そして光と水の美しい大阪を創り出す機会とし、また大阪城公園が持つ都心の貴重な緑の資産と歴史・文化が融合した観光都市にふさわしい魅力により、多くの人々が集い・賑わう祭典となることを目指しています。
 水都再生をめざす大阪市では、花と緑、光と水に関わる事業が春から始まります。水和む季節となり、さくらが咲く中、水辺でのイベント開催や水上バス等によるクルージングなどが盛んになります。大阪のさくらについては、造幣局の通り抜けが全国的にも有名ですが、本フェアの主会場である大阪城公園もまた都心にあるさくらの名所として市民に愛されています。久しぶりの春開催となるおおさかフェアに是非ご期待ください。

2面

第32回全国造園デザインコンクール
審査委員・講評

国土交通大臣賞 大学生の部
公共的空間部門
山本 多恵(明治大学)

(社)日本造園建設業協会長賞 高校生の部
住宅庭園部門 
福澤 篤史(長野県須坂園芸高等学校)

授与式のもよう 山本さんと西川室長

ランドスケープコンサルタンツ協会長賞
大西 郁さん

全国高等学校造園造園教育研究協議会長賞
上:石井 祐子さん 下:島田 冴さん

 当協会主催、(社)ランドスケープコンサルタンツ協会並びに全国高等学校造園教育研究協議会共催、文部科学省、国土交通省、全国農業高等学校長協会、6日本造園学会後援の平成17年度第32回全国造園デザインコンクールの審査結果が決定した。コンクールは造園の設計及び製図技術の向上と奨励のために実施され、今回から新たに「公共的空間」部門を創設。応募資格は、一般の部、大学生の部、高校生の部の3部とし、課題はA住宅庭園、B街区公園、C公共的空間、D実習作品の4部門。 今回の応募総数は、411点、このうち入選19点、佳作10点、奨学賞25点の計54点が入賞。詳細は日造協ホームページへの掲載を予定している。

■審査委員長 藤井 英二郎
千葉大学園芸学部緑地・環境学科教授

 第32回全国造園デザインコンクールには、全国から実に411件もの応募がありました。昨年31回が388件で過去最多でしたので、今回はそれをさらに大きく上回ったわけです。造園デザインコンクールに対する関心の高まりを感じます。応募の約7割は全国の農業高校からでした。指導に当たられた先生方の熱意と情熱に敬意を表します。
 今回初めて審査に当たらせて頂きました。一枚一枚の図面には一生懸命に楽しく取り組まれた様子がうかがえました。いずれの課題も生活実感をもってあるべき姿を具体的に構想する力が必要です。その上で与えられた立地条件を活かし、そこに求められる機能を最大限に発揮させる構成力が必要です。しかも、その構成は成長・遷移しますし、人も変化しますので、成長・遷移を予測し管理を踏まえたものでなければなりません。造園空間の美は自然と人が求める機能を調和させ、管理が適切に為されて初めて成立するものです。
■添野 龍雄
国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官、文部科学省初等中等教育局参事官付教科調査官

 新しい発想が脳の中で生み出されるしくみはまだ分かっていないそうです。しかし、脳にインプットされる情報の種類と量が多ければ多いほど、アウトプットとして生み出される発想も豊かなものになるそうです。
 造園デザインにおいては、ある条件の下で、どれだけ自分の中にあるものを出していけるか、ということが大切ではないでしょうか。今回のコンクールにおいて、皆さんの中から出てきた、多くの個性的な作品に触れることができました。
 須坂園芸高校の福澤さんの作品は、外からの景観と中からの景観をよく工夫したと思います。勢多農林高校の石井さんの作品は、趣旨の通り、一年中楽しめそうな感じがします。中央農業高校の島田さんの作品は、誰もが楽しめ、癒されるのではないでしょうか。
 今後もよりよい作品を制作するために、いろいろなことをインプットして下さい。
■西川 嘉輝
国土交通省都市・地域整備局 公園緑地課緑地環境推進室長

 今年より総合的に最も優れた作品を対象に国土交通大臣賞が設けられ、今回始めて審査に参加させていただきました。全体として高校生の作品レベルの高さに感心しました。日頃の先生の指導や学校の熱心な取組みの成果を強く感じました。今後は、住宅庭園とともに都市公園等公的空間の計画づくりへの一層の指導を期待します。また、大学生の部の応募作品については、レベルにかなりばらつきがありました。街区公園部門では条件を無視して独りよがりの奇をてらう作品が一部に見受けられました。常識にとらわれないユニークな発想は重要ですが公的空間づくりに携わる上での基本的な技術や考え方はしっかり学んでほしいと思われました。
 そのような中で、今回国土交通大臣賞を受賞した山本多恵さんの作品は、デザイン技術、アイディアともに優れ、特にそのデザイン表現力は際立って秀逸であり、将来の可能性を感じさせる作品でした。
 本コンクールは次代の造園界を担う学生等にとって、自らの力量を試す大変貴重な場であると思います。より多くの学校が参加して今後とも大きく発展することを期待します。
■上治 正美
全国高等学校造園教育研究協議会理事長(神奈川県立中央農業高等学校)

 今年度の応募作品の中に、応募規定にあっていないものが数点見られた。応募作品は、まず課題条件、設計条件などの応募規定にあっているか? そして製図、彩色などの技術的な表現力がそなわっているか? で予備審査される。次に、デザインコンセプトが明確か? 独創的か? などデザイン的な内容面で2次審査される。したがって、応募規定をしっかりとクリアすることが大切である。いくら表現力が素晴らしくとも、内容的に優れていても次の段階には進めないということである。今年度より公共空間部門が新設されたが、施工や設計上の条件が規定されている。是非確認し、ご指導いただきたい。
■鎌田 幸生
全国高等学校造園教育研究協議会副理事長(群馬県立勢多農林高等学校)

 高校生の作品は力作揃いで、各学校での熱心な取り組みに敬意を表します。今回も住宅庭園に力作が多く、甲乙つけがたく審査に時間を要しました。しかし、応募作品の中には、課題設定に対し、方位違いや、建物の位置が異なったり、記入漏れ等のミスがあり、丁寧に書かれているにもかかわらず入選から洩れてしまった作品があり、大変残念に思います。以下の図面の表記方法を確認し、次回の応募に向けて準備をお願いします。@応募要項に記載されている事項 A入口記号の記入B隣接道路等の明示 C図面の方位
 また、入選作品は、日造協のホームページからJPGファイルでダウンロードも可能ですし、お貸りする事も可能ですので、参考にしていただき、より多くの高校から力作の応募を望みます。
■岡田 藏司
(社)ランドスケープコンサルタンツ協会参与

 造園設計のプランニングの基になるのは、街区公園の場合は、周辺の道路を含めた立地条件、住宅庭園の場合は、敷地の中での住宅の配置、建物の間取り、敷地周辺との接道関係等である。
 今年に限らず、このコンクールの場合、唐突と思われるような平面プランが多く見られるが、これには、上記の条件を満たすための設計プロセスの一環である。ゾーニング計画が欠落しているからである。ゾーニングを行うことによって、エントランスの位置や導入する施設の配置が決められるし、機能的な植栽の配置や、景観的な樹木の位置関係も決定される。
 上手な図面や、きれいな絵を描くことも大切であるが、設計とは配置からスタートするということを、今一度考えてみて欲しい。
■山本 忠順
(社)ランドスケープコンサルタンツ協会参与

 今年もまた全国から力作が寄せられその数も増えたこと、誠に喜ばしく感じました。 
  さて街区公園部門において、大学生の作品には独創的でユニークなものが多く見られたのですが、その中から岡田委員と共に、「当世」というキーワードで、地に足のしっかりついた公園の提案をした作品を、ランドスケープコンサルタンツ協会長賞に選定致しました。
  コンセプトが明確で、図面も充実しておりプレゼンテーションも上手く、一部平面図の施設名に取り違えというケアレスミスがありましたが、総合的に優れていると高く評価した次第です。
■成家 次男
(社)日本造園建設業協会会長

 今年度より、国土交通省及び社団法人日本造園学会のご後援を受け、国土交通大臣賞を創設しました。
 また、公共的空間部門を新設し、商業施設の屋上緑化という今までにない課題を設けました。新課題にどのくらいの応募があるか、主催者として心配していましたが、大学生12、高校生10の応募があり、その中より、国土交通大臣賞が選ばれました。
 今後ともこのコンクールが、造園界の次代を担う若い方々の良き挑戦の場としての役割を担うことが出来ますように、引き続き鋭意努力していきたいと思います。
 なお、この場をお借りして、趣旨にご賛同・ご協力いただいております関係者の皆様に御礼申し上げます。
■高橋 一輔
(社)日本造園建設業協会技術委員長

 今回は全体で411点の応募がありました。年々増加傾向にあります。主催者側として嬉しい限りです。高校生の住宅庭園部門の応募が多く、水準も高く嬉しく思います。
 概評として、「計画図」と「設計図」とは少し違うので、考慮して表現手法を研究して欲しいと思います。環境造園空間は立地諸条件と時間軸も加わる4次元の空間であります。
 CADによる作図技術の向上があるものの、スケール取りに誤差のある図面が少々ありました。
 住宅庭園部門入賞の長野県須坂園芸高等学校・福澤篤史君の作品が全体的にバランスもあり、素晴らしいものです。将来を期待します。

3面

 

【総支部だより】

意見交換会や今後の
環境緑化講演会を開催
            北陸総支部

意見交換会:上 と 

小川課長講演:下 のもよう

 ご承知のように、北陸地方は昨年12月初旬から数十年ぶりの豪雪に見舞われ、近隣都市間の交通もままならぬ状況となりました。北陸総支部でも12月に計画していた諸事業が実施不可能となり、年明けにずれ込んだことに伴うスケジュールの調整等に追われました。
 しかし、会員の皆様のご協力を得て2つの事業を恙無く終えることができ、ほっと一安心しているところです。この記事が皆様の目に停まる頃は、最後の1つである「公共工事の入札制度改革に伴う講習会」も終わっていることと思います。
 今回は、既に終わった2つの事業、「国土交通省北陸地方整備局との意見交換会」と、国土交通省公園緑地課 小川陽一課長を招き開催した「今後の環境緑化の推進について」の講演会の概要をお知らせします。
 1 北陸地方整備局との意見交換会
 この意見交換会は毎年度12月上旬に開かれてきたものですが、昨年度は中越地震災害のため中止されていたものです。今年度は豪雪のため12月に開けず、平成18年1月26日新潟市のメルパルク新潟で開催されました。
 北陸地方整備局からは青木義男地方事業評価管理官を始め5人の方々が、北陸総支部からは岸総支部長外幹事会のメンバー12名が会し、北陸総支部からの提案の「分離発注の積極的な推進」、「国道沿いの緑化推進」等7課題について2時間にわたり熱の入った意見交換を重ねました。
 2 国土交通省 小川陽一公園緑地課長の講演会
 この講演会は、平成18年2月17日金沢市内のホテル六華苑で開催されました。北陸総支部が本省の課長を招き、直接国の施策の考えを聞く機会を持ったのは、平成14年当時の水産庁防災漁村課長影山智将氏以来4年振りであり、新潟県、富山県、石川県各支部の会員に加え地元石川県自治体の関係職員ら合わせて90名が参加し、小川課長が「今後の国の環境緑化の推進について」と題して語られる国の環境緑化政策について熱心に聞き入っていました。小川課長は、都市再生、地球環境、豊かな地域づくり、住民参加型緑化の4つの柱を中心に国の推進する都市公園の整備、特に安全安心確保のための防災公園の必要性を、また、地球環境問題では立体都市公園、壁面緑化等新しい形の都市緑化について実例を交えて説明。社会資本整備計画においては緑が大きな役割を担う政策分野になると強調、このあと参加者からの質問に答えられ、2時間に及ぶ講演を終えられました。                                (北陸総支部 事務局)

雪との共生
ピンチをチャンスに
            秋田県支部

道路の除排雪や高齢者住宅の雪下ろしに追われた県内のもよう

 歌手 新沼謙二が津軽恋女という曲で 
♪ 降り積もる 雪 雪 雪また雪よ 津軽には
  七つの雪が降るとか
  こな雪 つぶ雪 わた雪
  ざらめ雪 みず雪 かた雪 春待つ 氷雪 ♪
と歌って大ヒットしたが、秋田にも昨年12月これと同じ雪が、例年の一年分まとまって一気に降り、12月の積雪量としては観測史上88年ぶりの超豪雪となりました。
 更に加えて県庁所在地の秋田市では、正月のお屠蘇気分も醒めやらぬ4日〜5日にかけ74センチもの雪が降り積もり、これまた記録的な大雪となりました。
 朝、玄関のドアを開けてびっくり、正にお伽の国の銀世界でした。
 さて、秋田新幹線「こまち」の立ち往生やバス等の交通機関を始め都市機能が一時的にマヒした理由の一つに、昨年10月気象庁が発表した3ヶ月予報「全国的に暖冬で北日本の日本海側の降雪量は平年並み …」が、見事にはずれたことが挙げられています。
 このように、長期予報の精度の低さと市内は豪雪にならないという先入観が、自治体や市民に雪に対する危機意識を失わせ、除雪費や食料の仕入れ等々あらゆる面で想定外となり、結果として自衛隊に出動を要請し、道路の除排雪や高齢者住宅の雪下ろしに追われたことは、全国ニュースで報道されたとおりであります。
 昨今、豪雪の中での会員は、自治体からの業務委託で県・市道の除排雪や屋根の雪下ろし作業受注が相次ぎ、また、民間駐車場の除排雪等で不眠不休の大忙しの状態でした。
 このように雪国秋田で造園業を営む者として、天が与えてくれた厳しい環境に逆らうことなく、今、健康志向と環境重視のロハスな人間本来の余裕のあるライフスタイルに関心が高まりつつある中で、インターネットでの検索や全国の仲間と情報交換をして、秋田県人特有の「しなやかさ」と「したたかさ」に磨きをかけ、造園業を取り巻く厳しい時こそ、ピンチをチャンスに代える発想をしていただきたいと請い願うものであります。
 江戸末期に彼の二宮尊徳は「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」と「二宮夜話」に著しておりますが、人は額に汗して働くことが最も尊い姿であり、今流行のIT情報技術を駆使しコンプライアンス(法令順守)の意識が欠如した利殖に、警鐘を鳴らしているように思えてならないのは、私一人だけでしょうか。
                           (秋田県支部 事務局長・加賀 辰夫)

【事務局の動き】

 

【2月】
1(水)・入札契約制度対応分科会
1(水)〜2(木)・造園工事基幹技能者認定研修会(富山)
3(金)・ 「広報日造協」編集会議
    ・沖縄国際洋蘭博覧会審査会
4(土)・ 沖縄国際洋蘭博覧会表彰式
6(月)・ 第32回全国造園デザインコンクール表彰式
7(火)〜8(水)・造園工事基幹技能者認定研修会(浜松)
10(金)〜11(土)・造園工事基幹技能者認定研修会(高松)
14(火)・ 第2回造園施工管理技術検定委員会
15(水)・ 第21回財政・運営検討特別委員会専門部会
16(木)〜17(金)・造園工事基幹技能者認定研修会(大阪)
20(月)・ 生涯職業能力開発体系第4回作業部会(造園分野)
21(火)・ 第3回財政・運営検討特別委員会
          ・ 総支部長会議
24(金)・ 入札制度講習会(九州)
27(火)・ 第2回資格制度普及分科会
【3月】
1(水)〜2(木)・造園工事基幹技能者認定研修会(広島)
2(木)・ 第22回財政・運営検討特別委員会専門部会
3(金)・生涯職業能力開発体系第5回作業部会(造園分野)
6(月)・ 「広報日造協」編集会議
         ・ 入札制度講習会(北陸)
6(月)〜7(火)・造園工事基幹技能者認定研修会(札幌)
7(火)・ 入札制度講習会(四国)
8(水)・ 造園CPD協議会
         ・ 入札制度講習会(関東・甲信)
9(木)〜10(金)・造園工事基幹技能者認定研修会(島根)
13(月)・公園緑地課との意見交換会
14(火)・ 総務委員会財務部会
          ・ 国際花博協会評議員会
          ・ 造園CPD協議会
16(木)・ 入札制度講習会(中部)
17(金)・ 入札制度講習会(近畿)
23(木)・ 総務委員会(全国)
          ・ 第23回財政・運営検討特別委員会専門部会
24(金)・ 技術委員会
28(火)・ 理事会
29(水)・ 第24回財政・運営検討特別委員会専門部会                                                                         

4面

【総支部だより】

奈良県の「梅便り」
大和郡山市盆梅展
            奈良県支部

盆梅展のポスター

 

  奈良県の梅の名所は奈良県北部の月ヶ瀬梅林(奈良市月ヶ瀬)、中部の広橋梅林(下市町)、賀名生梅林(五条市)などがあります。梅の原生地は中国で、いつ頃日本に入ったのかは分かりません。魏志倭人伝に梅を意味した文字があると言う説もありますが、それも定かではありません。万葉集には4500首の歌のうち160種類の植物が詠まれていますが、最も多いのが萩で141首、次いで梅で118首詠まれています。このことから万葉の時代には既に梅が栽培されていたことがわかりますが、ただ梅の観賞は貴族など一部の人に限られ、特に花の形、色、香りなどが好まれたようです。梅は温暖な気候を好み、寒冷地では育ちません。中国の国花は牡丹と梅ですが、北京では梅は育たないそうです。梅は野梅系、紅梅系、豊後系に分類されますが、豊後系の杏(あんず)性が寒さに比較的強く、日本では東北地方から北に多く見られます。さて盆梅といえば関西では滋賀県長浜市の盆梅が有名です。奈良県では県北部にある大和郡山市で盆梅が盛んです。これらの盆梅は市内の多数の造園家が丹念に栽培管理しています。大和郡山市はもと柳沢氏15万石の城下町で近世以来金魚の養殖でも有名です。また柳沢尭山公が赤膚焼を興し、特に茶器によって全国に知られ、(小堀)遠州七釜の一つに入っています。大和郡山市では毎年大和郡山城の追手門、追手向櫓、多聞櫓で盆梅展を開催し100〜120鉢が展示され、多くの観光客が盆梅の観賞に来場されます。盆梅は主に野梅系、紅梅系の銘品種が展示されます。なお、これら展示会場になる建築物は盆梅展の期間のみ公開され普段は非公開です。今年の盆梅展示会は2月10日〜3月12日まで開催。場所は近鉄橿原線大和郡山駅のすぐ近くで、駐車場もあります。今後機会がございましたら皆様の是非の御来場をお待ちしております。          (奈良県支部 事務局長・石岡 喜代麿)

「鈴の音よ響け」
遍路の道に樹木とベンチ
            四国総支部

愛媛の背付ベンチ

高知での植樹参加者

  四国の風物詩の一つに「四国八十八カ所」をめぐる「お遍路さん」があることは、よく知られています。厳冬に震え上がった今冬の日本列島の春は、「チリーン」という優しい音を響かせるお遍路さんの姿から届けられます。
 四国総支部が平成15年10月から取り組みを始めたのが、この鈴の音がもっともっと癒しの音になるようにとの想いをこめた「四国八十八カ所歩き遍路ボランティア活動事業」でした。
 平成15年度徳島県支部の活動に続いて平成16、17年度に計画されたのが高知と愛媛での取り組み。それぞれ、国、県、関係市町村など行政や札所となるお寺とボランティア活動にふさわしい場所を相談し、高知県支部は3月29日に、南国市岡豊町小蓮の高知大学医学部南にある国分川沿い遍路道で実施。 愛媛県支部は12月14日に中予地区の浄瑠璃寺、八坂寺、西林寺、浄土寺、繁多寺、石手寺、太山寺、円明寺で取り組みました。
 高知は県支部14人が中心となって、地元自治会の協力も得ながら、総支部の提供したカワズザクラ、ソメイヨシノ、シマトネリコ等その他を含め計21本を植樹。さらに土佐国道事務所からもナンキンハゼ2本を提供いただきました。
 愛媛では県支部の12人が底冷えのする中、参加。総支部の提供した木のぬくもりと暖かさに心が癒され休息していただけるよう願い、愛媛県内産杉材を使い、タナリス防腐加工した「背付ベンチ」8基を備え付けました。
 それぞれ、すでに、遍路の人たちから、あるいはご住職などお寺の人たちから感謝の言葉が届けられ、とても喜んでいただいている様子です。
 お遍路さんはいつまでも絶えることのない日本人の心の文化です。
 爛漫の春に、夏の日差に、さわやかな秋の風に、舞い落ちる白い雪の中を歩き続ける遍路の人たちに、四国総支部のボランティア事業が役立つことをうれしく思っています。
 このボランティア事業は平成18年度に香川県支部も取り組みます。
                                  (四国総支部・事務局)

「街路樹剪定士」の
研修会・認定試験実施
            千葉県支部

実技講習会では剪定のポイントなどを解説した

 千葉県支部における平成17年度街路樹剪定士研修会・認定試験が1月24日から26日の3日間にわたり開催されました。
 街路樹剪定士認定制度の普及に伴い、県内市町村からの造園工事及び管理業務の発注にあたり、街路樹剪定士の資格を有することが受注の要件として示される傾向が出てきたため、50名の定員に対して88名の応募がありました。
 本来であれば、応募者全員の受講・受験を受け入れなければならないところですが、実技試験会場等の都合により、受け入れ人数を制限せざるを得ませんでした。そこで、支部の会員等を優先しながらも受講・受験者数を1社1名に調整して、その分を会員外からの応募者受け入れに振り向けてこの制度の普及に努めてきたところです。
 一方、今年度から特に実技試験を実技講習と分離して実施するため、実技の講習会を2日目の午後実施し、3日目は実技試験の実施のみとしました。
 実技試験は、君津市のイチョウ及びナンキンハゼの街路樹で行い、当日は東京都支部並びに埼玉県支部からそれぞれ1名の主任判定員をご派遣いただき、厳正な評価をして頂きました。
 なお、本年も県及び市町村職員21名の参加が得られ、街路樹の管理運営面における理解を深めることができたと思われます。
 千葉県支部における当研修会の開催は今回で7回目の開催となり、昨年度までに287名の街路樹剪定士を輩出してきました。引き続き、この制度のさらなる普及に努めますとともに、街路樹剪定士の活躍の場が一層広がるよう期待しているところです。                             (千葉県支部・事務局)

【緑滴】

 指定管理者制度の導入、数多くのNPO等の活発な活動、景観緑三法の制定、外来生物法の施行、あるいは公共工事の総合評価方式の導入など、今まさに公園・緑行政は大きな転機を迎えているといえる。そしてここ数年の災害の教訓よりオープンスペースや防災公園の重要性も国民の皆が実感していることであろう。我々造園界への期待とその責務は益々大きくなっている今日である。
 先日、地元のまちづくり委員会の場に、ある携帯電話会社がアンテナ建設の説明に訪れた。もう3回目である。わが町は埼玉の丘陵部に位置するが、携帯電話利用者の多くが弱い電波の不便さを感じており、まちづくり委員にとっては早期に実現したい案件であるにも関わらず、アンテナ建設の十分な説明がなされないために住民説明会にかけられない有様となっている。それは自然保護団体も敏感である場所柄に加え、景観への配慮が全くないからである。稜線を切り、緑一色の自然林に立つ鉄塔を表すCGは何とも許しがたい。私は民間会社で設計提案を担う一人であり、説明責任の重要性を嫌というほど思い知らされている。都市インフラ施設ほど、まず景観に配慮すべきものだと思う。設計といえば、まだまだ日本には、明らかにあり得ないという造園設計が時々出没している。設計する側も造る側も配慮のなさ、勉強の足りなさを露呈している。「あるべきところにあるべき緑を」、「人の心に感動を与える快適なステージ」を私は創出し続けて行きたいと思っている。造園は唯一無二で、土地も風土も文化も、気温も風も日照も、全く異なるところに、人間も含めた生きものを相手にものづくりを行ってゆくものである。ゆえに面白く、やめられないのである。                      大嶋 聡(西武造園 設計技術部)