INDEX 広報 日造協 2005年7月10日 第376号

1面

平成17年度 通常総会
 景観緑三法など対応
 事業計画など6議案を審議承認

高梨雅明課長祝辞

平成17年度通常総会開催にあたって
  社団法人 日本造園建設業協会 会長 成家 次男 

 

2面

平成17年度事業計画

 

平成17年度 日造協 協会表彰

 

3面

多数の来賓を迎えて懇談会を盛大に開催 

 

造園の足元を見直すBC
 造園領域からの発信を
 (日造協 東京都支部 研修会より)

 造園新時代に向けて
  松田 武彦(松田造園技術事務所 代表) 


 造園技術者の立脚点を考える
  福成 敬三(潟tォーサイト)

 

【麹町箱】
 年次総会を開催 明るい展望確認
                                       島根県支部 

 

4面

【総・支部だより】

 「'05みちのくグリーンサム物語」花普請 in みちのく                  東北総支部

 「会員メリット」の転換に期待                     福井県支部

 

 仮設住宅に“緑の木陰”復興へ緑化ボランティア    九州総支部・福岡県支部

 

 台風16号高潮その後の調査行う                    香川県支部

 

 

【事務局の動き】

 

 

1面

 

平成17年度 通常総会
景観緑三法など対応
事業計画など6議案を審議承認

総会の冒頭、あいさつする成家次男会長


 

 当協会の平成17年度通常総会は6月23日、東京・千代田区の赤坂プリンスホテルで開催した。冒頭、成家次男会長があいさつ(別掲)、次いで、来賓を代表して、国土交通省都市・地域整備局の高梨雅明公園緑地課長が祝辞。造園建設功労賞などの協会表彰を行った(受賞者2面)。総会では、6議案を審議、承認し、総会終了後は、「指定管理者制度と造園CPD制度について」の講演を野村徹郎技術調査部長が行い、午後6時からは、多数の来賓を迎えての懇談会が開かれた。

 平成17年度通常総会は、平成16年度事業報告、平成16年度決算報告、平成17年度事業計画(記事1、2面)、平成17年度収入支出予算、総会議決事項の委任、役員の補充選任――の6議案を審議、承認した。

 通常総会の資料説明に当っては、今回からパワーポイントを活用した事業報告、事業計画の紹介が導入され、それぞれの事業について、文章での報告だけでなく、具体的にどのような取り組みがなされているのかが、写真や図などで分かりやすく説明された。

 特に、事業計画では、景観緑三法や品質確保の促進に関する法律の趣旨に即した事業、日造協が認定する「街路樹剪定士」や「植栽基盤診断士」、造園連と共同で行う「造園基幹技能士」の充実をはじめ、造園CPD(継続教育)について積極的に取り組んでいくこととした。

 また、役員の補充選任については、荷川取健蒲ョ商造園土木代表取締役社長、北山武征 前(財)公園緑地管理財団副理事長の理事退任に伴なって行われ、市来敏孝沖縄園芸椛纒\取締役社長、伊藤英昌(財)公園緑地管理財団副理事長が新理事に選任された。

 

 基本方針

 1 会員企業の経営の合理化の促進を図るとともに、技術・技能の高度化を図り、技術提案型企業へと転換を図るための戦略開発を推進する。

 2 技術・技能の向上のための研修・訓練・資格制度を充実する。

 3 新たな時代の要請を踏まえて、新分野の業務開拓に積極的に取り組む。

 4 造園と緑化(緑花)の重要性を広く国民各層に訴え理解と支持が得られるよう、常に市民生活と連携、協調した行動をとり、公益性の高い協会活動を目指す。

 5 地方の時代に対応した協会業務の実施並びに公益性をより重視した協会活動の促進を図るため、財政基盤の確立に努めるとともに執行体制の改革を推進する。

高梨雅明課長祝辞
祝辞を述べる高梨雅明・国土交通省公園緑地課長高梨雅明課長

 長く緑づくりに携わり、その推進に努めてきたが、近年になって世間の目がようやく緑に向くようになってきた。

 日造協は昭和46年に設立され、すでに35年の歴史を有し、多様な活動がなされてきたが、中でも国際園芸家協会(AIPH)に、日造協が日本の代表として加盟、1990年に大阪での花博を誘致、開催することができ、その後、淡路花博、浜名湖花博を開催し、多くの国民が来場された。

 さらに、日造協は毎年開かれる全国都市緑化フェアにも協力され、国民の緑への理解が格段に向上してきたと言える。現在、このフォローの風をいかに生かしていくかが求められており、造園技術のたゆまぬ向上と、技能の研鑽、人材育成などについて、今後も積極的な取り組みを期待したい。

 日造協は、総支部、県支部における活動も活発で、景観緑三法の施行で今後本格化する国土交通省が各地方公共団体とともに取り組む景観づくりにも、地域の特性が生かされるよう皆様のご協力をいただきたい。

平成17年度通常総会開催にあたって
社団法人 日本造園建設業協会
会長 成家 次男 

 昨年景観緑三法が成立し、6月1日には、景観法が施行になり、いよいよ景観・緑行政の実施の段階に入りました。例えば、都市緑地法による緑化地域内では、敷地面積1000u以上については25%前後以上の緑化が義務付けられることになりました。
 従来、個人の緑化は任意の行為で義務付けは困難とされてきたことを考えますと、画期的なできごとであり、今後、緑化地域の指定が全国で推進され、都市の緑化が飛躍的に進められていくことを念願するものでございます。
 この景観・緑の政策の実現については、市民、企業、行政が主体になりますが、行政の強力な後押しとともに、NPO法人や諸団体の支援、協働作業のもと、造園業界の役割も従前に比べて、非常に大きなものが見込まれます。
 この機会に、技術を研鑽し、社会に貢献すべく一層の努力を傾注してまいりたいと考えております。
 また、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が4月1日から施行されました。 この「品質確保法」は従来、価格のみの競争が原則とされてきた公共工事の入札等について、価格と品質の両面による総合評価での入札、調達を行っていくこととされたものです。
 造園業界としましては、これまで、造園特有の仕上がりを評価する入札契約手法を要望してまいりましたが、この機会に、植物や自然資材を扱う各種造園専門技術が適切に評価されるよう各方面への働きかけを強めてまいりたいと考えています。 また、指定管理者制度の活用、校庭芝生化、自然再生事業等の推進、街路樹剪定士、植栽基盤診断士等資格制度の充実、CPDの活用等諸般の課題についても、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 昨年は大きな地震や台風に見舞われ、大災害が発生しました。一方、東京湾周辺には、いつ大地震がきても、不思議でない状況だそうです。
 造園業界として、このような地震等による災害が起こったときの対応として、相互防災支援体制の準備を政府・地方公共団体等と協議し、進めてまいりたいと考えていますので、会員の皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。
 また、職場での安全衛生対策その他についても、全国的な呼びかけのもと一層推進してまいりたいと思っております。
 最近の建設産業界を取り巻く状況は誠に厳しいものがありますが、山積する諸問題に前向きに取り組み、適正な競争社会の実現に努力しながら、造園建設業の健全なる発展に努力してまいる所存でございます。
 本日は平成17年度の協会表彰を予定しております。表彰の栄誉に輝かれた51名の方々に心よりお慶び申し上げる次第でございます。
 最後に、会員の皆様の協会活動に対するご支援、ご協力方をお願い申し上げますとともに、業界の益々の発展振興、皆様のご健勝をお祈り申し上げご挨拶といたします。

2面

平成17年度事業計画

 

 

活動内容

1. 会員企業の経営の合理化の促進を図るとともに、技術・技能の高度化を図り、技術提案型企業へと転換を図るための戦略開発を推進する。

 不断の経営の合理化と技術・技能の向上は、業の発展の根幹であるとの認識のもとに、日々自己革新を怠らず、活気ある造園工事業としてその経営基盤を強化することを目指す。「日造協ビジョン」で示した「重層的協業体制」により、柔軟性を持つ、協調による繁栄の業態を求める。

 このため適正な「建設生産システム」の構成を目指し、適正な施工体制の確保を確立するとともに、造園企業としての倫理と社会的責任を再認識する。

 造園に関する独自の技術・技能の研鑽に努め、優れた技術と建設マネジメント能力を持つ集団として広く市民の理解を得る。これらの技術を幅広く社会に提供し、みどりの保全と創出に協力する。

 (1)「造園産業環境マネジメント宣言」の展開 

 (2) 自主品質管理、技術提案能力向上の促進

 (3) IT化の促進

 (4) 公共工事の品質確保の促進に関する法律の趣旨に即した事業の推進    

 (5) 建設業法・公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律など関係法規の遵守

 

2. 技術・技能の向上のための研修・訓練・資格制度を充実する。

 経営者から現場の造園技能者まで、すべての資質の向上は、造園建設業がサービス業として常に研鑽すべきことである。このため技術・技能の継続的な研修・訓練の充実と、あわせてキャリア証明の時代への対応を図る。また、これらの研修・訓練の場は会員に限らず提供することを目指す。

 (1) 造園技術・技能のたゆまぬ教育・訓練の実施 これまで蓄積してきた造園実務の教育・訓練の成果を、新たな時代に求められる技術者・技能者が持つべき技術・技能として実施する体制を確立する。あわせて、技術者個人のキャリア証明制度である造園継続教育制度(造園CPD)へ積極的に取り組む。

 (2) 特色ある研修や資格制度を充実する 成果を挙げつつある「街路樹剪定士認定」や「植栽基盤診断士認定」の研修を充実する。また、造園施工にとって重要な「移植技術」「屋上緑化」等にかかわる研修と資格認定制の確立に努力する。

 

3. 新たな時代の要請を踏まえて、新分野の業務開拓に積極的に取り組む。 新たな時代の要請の正確かつ迅速な把握に努め、「日造協ビジョン」に掲げた「拡造園工事業」の方向を堅持し、計画・設計の業務の割合を高めるとともに、植物管理の業務から例えば公共における都市公園のトータルな施設の総合管理まで、事業領域の拡大に努め、指定管理者制度への積極的な取り組みを推進する。

 造園工事業は、今世紀に拡大する環境産業における、環境創造及び環境修復を担う業であることを自覚し、屋上をはじめとする建築空間緑化、学校緑化、造園近自然技術、生態系に関わる環境整備及び復元の技術、居住形態の変化に伴う庭の再整備など造園領域に関わる技術の開発と新たな業務領域の開拓に努めるとともに、都市公園をはじめ、自然公園、農漁村地域、森林地域、港湾、道路、教育施設など新たな緑化の先駆となり社会的貢献を図る。

 その他にも造園建設業にとってふさわしい課題に対しては、特別研究会を設け、機動性を発揮するとともに情報の集約を図る。これらの結果は、会員に止まらず広く一般に向けて日造協ホームページ等で発信する。

 

4. 造園と緑化(緑花)の重要性を広く国民各層に訴え理解と支持が得られるよう常に市民生活と連携、協調した行動をとり、公益性の高い協会活動を目指す。

 造園工事業としての発展のためには、社会的必然性と、造園工事業として地球環境への関心を持ちつつ、身近な社会が要求していることを把握し、社会の利益を求めて共生していくことを目指すことが重要である。造園工事業の真の内容を、社会一般に広めて理解を得ることにより、その存在を確たるものとしなければならない。このため、都市や地域における「みどりの再生」、「みどり空間」の重要性とその理解を深めるため以下の活動を推進する。

 (1) 市民への広報を充実し、市民と協働の事業活動を推進する。

 公益法人として社会に貢献し、エンドユーザーである市民へのサービスを充実すると共に、市民参加の活動を盛んにする。このために総支部・支部は地域社会のニーズを的確に把握し、これに応えるよう事業の積極的推進を図る。

 (2) 花と緑の国際交流を推進する。

 AIPH(国際園芸家協会)の日本国を代表する加盟団体として、その責務を果たす。1990年の「花の万博」の基本理念を継承発展させ、花と緑があふれる豊かな社会の実現に取り組む。このため、国際及び国内の園芸博覧会の開催の推進と協力をするとともに、全国都市緑化フェアの開催に協力する。

 (3) ITを十分に活用する。

 日造協のホームページを充実し市民との直接の接点を設ける。これにより、花と緑に関する技術・技能の情報を市民に公開しつつ直接消費者と向き合う業務領域を拡大するとともに、会員に対する情報の受発信を活性化する。

 造園産業団体の協調によりすでに基本的なシステムが構築されているメZOEN ミNETモの有効活用の方策を検討する。

 (4) 関係省庁及び団体の事業の拡大・推進に協力する。

 ・※景観緑三法について、法の趣旨及び内容等の普及啓発に努める。

 ・都市公園整備事業、道路、河川、港湾等の環境整備事業、ならびに自然公園等整備事業及び自然復元事業の促進と拡大に寄与する。

 ・校庭の芝生化等屋外教育環境施設の緑化事業の推進に協力するとともに、地域と一体となった環境づくりに貢献する。

 ・都市緑化推進運動、「みどりの愛護の集い」等の諸行事に参画し協力する。 ・造園関係団体と役割分担しつつ協働を強める。また建設業団体との連携も強化する。

 ※景観緑三法とは

 ・景観法 ・景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(都市計画法、建築基準法、屋外広告物法等の改正)

 ・都市緑地保全法等の一部を改正する法律(都市緑地法、都市公園法の改正)

 

5. 地方の時代に対応した協会業務の実施並びに公益性をより重視した協会活動の促進を図るため、財政基盤の確立に努めるとともに執行体制の改革を促進する。

  総支部を主軸にした協会活動の構成が実施されたことにより、本部と総支部の役割分担をさらに明確にするとともに、総支部毎に本部との意見交換、連携を強化する。ひき続きこの構造改革を定着させることにより事業計画を柔軟に捉え、適宜フォローアップしつつ進行管理する。また、現下の経済社会環境をふまえ、協会活動の基本的方向並びに組織、会員構成、健全な財政基盤の確立等根本的な事項について検討を継続するともとに、経費の節減に努力し、執行体制の改革を推進する。

 各総支部は、その地域の事情に即した事業計画を樹立するとともに、組織体制の整備を図り活発な活動を展開する。

 

6. 雇用改善事業の推進 

 各支部の雇用改善推進担当者及び雇用管理責任者会議等を行い、雇用改善事業の推進に努める。

7. 表彰と顕彰 

 文部科学省、国土交通省等の後援をいただき、第32回全国造園デザインコンクールを実施し、優れた作品について表彰を行う。

 緑化事業の推進並びに業界の発展に著しい業績等があった者に対し、表彰規程により、表彰を行う。

 

平成17年度 日造協 協会表彰
17年度協会表彰に51氏
業績など称える

表彰式のもよう

 当協会通常総会の席上、平成17年度の造園建設功労賞14名、業績表彰27名、勤続表彰10名の表彰を行った。受賞者は左表の通り。

3面

 

多数の来賓を迎えて
懇談会を盛大に開催

あいさつする蓮実進国土交通副大臣

 当協会の総会終了後に行われた懇談会には、会員をはじめ多数の来賓が参加して行われた。

 冒頭、成家次男会長が、「総会の報告をはじめ、温暖化や景観緑三法への対応など、環境保全や美しい国づくりへの取り組みが求められ、我われ造園の仕事に対する国民からの期待として捉えている。今後も伝統技術から特殊緑化空間にまで対応した緑を担う団体として社会に貢献していきたい」と述べた。

 次いで、来賓から蓮実進国土交通副大臣が、「クールビズを進めているため、ノーネクタイで失礼するが、地球温暖化、都市のヒートアイランド現象は深刻な問題だ。都市公園をはじめとする緑は都市の安全、安心の場所として利用されている。日頃から全国都市緑化フェアなど、皆さんのご協力を得ており、感謝申し上げる。21世紀は環境の世紀といわれ、景観緑三法に基づき、今後、国土交通省も緑の保全・創出を進めていく。日造協をはじめ、本日お集まりの方々においても、緑美しい景観づくりに積極的に取り組まれることを期待している」と祝辞。

 陣内孝雄都市公園緑地等整備促進議員連盟事務局長が、「造園建設業は、建設業の中でも多数を占め、大変な力を持っている。地元の佐賀県では吉野ヶ里で遺跡が発掘され、地元造園業関係者が市民を代表する形で、さまざまに活躍され、国営公園として整備され、多くの来場者を迎え、貴重な歴史を伝えている。また、建設業にあって、唯一生きものを扱うのが造園であり、基幹技能士や街路樹剪定士などの認定など、さまざまな活動に取り組まれていることに敬意を表する」とお祝いの言葉を述べた。

 その後、会場に訪れた多数の来賓の方々のお名前を紹介。乾杯となり、6日本造園学会から涌井史郎副会長があいさつ。

 「学会は今年定款を改正し、大きく様変わりした。これまで”学術による社会貢献“であったが、”学術及び技術“とした。造園CPDなど、技術への関心・期待が高まっている。これを担う皆さんの活躍に期待するとともに、連携し豊かな緑づくりに貢献していきたい」とあいさつ。祝杯を挙げた。

 懇談会は午後8時、藤巻副会長が「これからも子どもたちが安心できる緑豊かな環境づくりを進めていきたい」と閉会のあいさつ。盛況裡に閉会した。

 社会変化の中、経済、社会構造が行き詰まりをみせ、造園産業界も、公共工事主体の受身体質やバブルの後遺症から完全に脱却できずにいる。

 一方、地球温暖化や生物多様性の確保など、造園産業界に対する要請が高まり、ピンチはチャンス。新たな展望を開く、具体的な行動を伴なう挑戦が求められている。

 具体的な行動の前に、現状と変遷を振り返ると、造園には、世の中がどう変化しても変わらない部分と、時代ごとの流行――の「不易と流行」の両面があることが分かる。

 造園は、芸術性のある仕事といわれるが、基本的な技術があってこその話であり、高度成長期の1980年代から1990年はじめまでの10年間で技術が空洞化したといっても過言ではない。

 ゆえにガーデニング、屋上緑化などの近年の流行に対して、異業種の参入に何も手が打てず、造園技術者が基本に立ち返り、現場主義に徹し、これに感性を身につける努力が必要だと言うことに、気がつき始めた段階と言える。 こうした中で、公共工事の弊害として現在も問題に成っているのが、公共用緑化樹木品質寸法規格基準、土木工事としての造園、施工管理基準・監督要領・検査基準、樹木の剪定技術――などである。

 これらの具体的な解決、造園の原点に帰るためのキーワードには次のものが挙げられる。

 ▼地産地消の造園 … 地域の産物を生かし地域で消費する造園文化▼「乞わんたしたがう」(作庭記から)… 自然に学び、自然の摂理に従う▼技術と技能…技術書に書き表せない技▼仕事は覚えるもの…教わるものでなく覚えるもの▼創る造る作る…人格以上の庭は造れない▼環境と情報…環境・情報時代への対応▼仕事の評価…仕事のあり方と仕方(行政、企業、NPO、市民)を考える。商売の原則は顧客第一主義▼不易と流行…普遍性と時代の変化。贅沢から文化は生まれない▼三現主義 …現場、現物、現実を直視。技術の源は現場であり、現場の技術は最先端技術ではなく、最前線技術である▼ハインリッヒの法則 … 当たり前のことを当たり前にやることの難しさ これらを踏まえ、造園産業界の将来を考えると、@NPOのような企業、企業のようなNPO、技術者は一人NPO? A事を起こし発信すること B企業は技術提案発信で、言うべきことはいい、やるべきことはやる C民学官による横断的な協力。議会や市民を意識した活動――が求められていると言える。

 このように考えると、造園技術者の将来像は、プロの出発点である資格の取得から造園CPDなどを積極的に行うべきであり、一方で@お人好しA専門に固執B技術以外に無関心C物事の本質を考えないDくちべた・文章べたE小成し威張りたがるF中途半端――の技術者の7つの大罪を犯してはならない。 合わせて、思考が言葉に、言葉が行動に、行動が習慣に、習慣が性格に、性格が運命になることに留意して、楽しく仕事をし、人に感動を与える仕事をしよう。

造園の足元を見直すB
造園領域からの発信を
(日造協 東京都支部 研修会より)

造園新時代に向けて
松田 武彦
松田造園技術事務所 代表

造園の足元を見直すC
造園領域からの発信を
(日造協 東京都支部 研修会より)

造園技術者の立脚点を考える
福成 敬三
潟tォーサイト

 はじめに、造園技術の認識として、「わが国の造園技術の原点」「造園が建設業になり、造園産業になった時代」「造園施工管理技術検定の影響」といった歴史と、「社会情勢」「建設業」といった状況について概説したが、これらを踏まえて、造園技術の立脚点について、考えてみる。
 「造園の特性」として、まず、技術面で、@快適さ、安らぎの感じられる空間の創造する技術 A場を読み、条件を生かす技術 B市民、利用者の意向を汲み取るコミュニケーション技術 C自然素材を知り、時間軸を考えながら生かす技術 D管理を通じて創造する技術――がある。
 また、造園産業の特性として、@求められる多様な機能等に応じた優れた空間の創出 A生きものを空間構築素材としていること B細部とともに総合された空間全体に価値があること C典型的一品生産的性格があることD現場条件に適切に対応する上での裁量が大きいこと――がある。
 こうした造園の特性を生かし、「造園のいいところを伸ばし、改めるべきを改める」ことが必要である。
 このため、設計者の選定に当っては、価格ではなく、資質を評価する設計能力によるものとし、空間全体の設計意図を明確に伝達するために、設計監理の導入を図るべきである。
 また、施工面では、造園の技術・技能を生かすために技術提案しやすい手続きの簡素化などの環境整備が必要で、生きものを空間構成素材としていることから、維持管理についても、設計段階から目標を明確にし、その目標を責任を持って実現できるように、毎年の業者変更ではなく、複数年にわたる啓億的な管理を行えることが望ましいとした。 これらを実現するための「持つべき視点」としては、評価であり、造園技術の特性のすべてを評価することには無理があるため、いかに快適で安らぎの感じられる空間表現ができたかを主要な評価の対象とし、これに施工体制、施工状況、出来形、社会性などの評価を実施合わせて、工事成績評価への反映、高度な評価力をもった評価組織の存在(目利き)、さらに技術力の総合評価による格付けが考えられる。
 そのほか、「市民の存在と造園人の責任」については、市民参加の機会が増えているが、こうした機会を重ねていくことによって、造園空間づくりのプロセスや造園空間の役割について市民の理解が深まり、大きな成果といえる。
 さらに、「管理の重要さ」については、造園は植物と言う生命のある素材を扱い、生命を保ち続け、成長していく形状と大きさがともに変化するため、その管理についても十分に考えられる必要がある。緑化、緑地はぞれぞれさまざまな条件の下で行われており、それぞれにおける大切な品質とは何かをしっかり考えながら、個別に設定していくことも大切。
 こうした本質的な品質の管理が行われることで、市民にあるいは自然に対して、より望ましい結果を提供できることにつながれば幸いだ。

【麹町箱】
年次総会を開催 
明るい展望確認
            島根県支部 

 本県支部は、姉妹団体、島根県緑化技術協会と合同で5月13日松江市内において年次総会を開催した。恒例の造園技術者表彰で、各会員より推薦のあった12名を表彰した後、議事に入った。
 近年の景気の低迷、急激な市場の縮小により、厳しい経営環境に直面していることは、本県も例外ではない。県の「中期財政改革基本方針」においては、平成20年度までに公共事業費を半減する事を目標とし、削減がなされている。建設投資に占める公共事業比率の高い本県にとって、影響は大きい。
 建設工事が減少し、管理サービスを提供する時代に変化していく時、質の高い施工が出来る優秀な人材の確保・育成が不可欠であること、又、他の業界からの参入も予測される中、専門工事業者としての特色を明確にする上からも、街路樹剪定士等技術者の拡充は急務であることから、認定講習会を開催し有資格者の倍増を目標とする。
 併せて、IT化が進む中、会員のレベルアップを計る上から、電子納品に対応する講習会も開催することとした。市町村合併が進み、今秋には、自治体数も半分以下になる中、新しい市町村に対し、積極的に企画・提案活動を行い、会員相互が経営努力をし、明るい展望を切り拓いて行くことを確認し閉会した。
                                   (島根県支部 事務局)

4面

【総・支部だより】
 「'05みちのくグリーンサム物語」

花普請 in みちのく

            東北総支部
 

民家の花普請

アイデアガーデニング 

 「'05みちのくグリーンサム物語」は6月3日から6月5日までの3日間、公共公園を利用し花と緑を愛するものが集い多くの人たちと「花と緑」を楽しみ鑑賞しようと、国営みちのく杜の湖畔公園内ふるさと村(東北6県の特徴ある歴史、風土、伝統文化を紹介する古民家を移築復元した)を主会場に開催した。

 今年のメインテーマの「花普請 in みちのく」は、花普請とは、古来から神社、仏閣、道路などの普請は、地域の方々の共同作業や寄進により行われていたことになぞらえ、身近にある花、木、石などを材料に古民家や道路を装飾しようというもので、道端を飾るアイデアガーデニング展には、県内農業高校等3校から出展、民家の花普請には園芸専門学校他から5展の出展があり、いずれもすばらしい作品でありました。他は例年どおり、盆栽展、生け花展、押花展・スクール、クラフト展・スクール、お茶会・野点、草木と遊ぶ、凧揚げ・凧つくり、木端とあそぶ(小鳥の巣箱づくり)と多くの催しを開催しました。

 開会当日の3日は、小雨が降るあいにくの天気で出足も悪かったが、5日の日曜日は公園側の計らいで、無料入園日と宣伝していただき好天に恵まれ約1万人の入園者で盛会のうちに終了することができました。

 また、巨石ガーデニングには、宮城県支部会員20社が出展し4月23日からの「みちのく公園花のフェスティバル」から出展しており、4月29日の入園者(500名)から人気投票をしてもらい上位3展をグリーンサム開会式に、東北総支部長賞等として表彰しました。

 「みちのくグリーンサム物語」は今年で4年目、企画運営等まだまだ不備なところが多いですが、「今年も来ました…」というリピーター入園者も見られ、「花普請」のテーマで多数の高校生の参加があり、輪が一回り大きくなったような感じで、高校生は来年はもっとよい作品を出そうとの意向もあり、ここ、みちのく杜の湖畔公園から花と緑のまちづくり「花普請」の輪を全国へひろげたいとの想いです。

(東北総支部)

「会員メリット」の転換に期待

            福井県支部

      

 長引く景気低迷と公共工事発注減少からか、当支部においても会員の減少は大きな問題となっています。会員が業界に求めるメリットについては、まず1番に「受注量の拡大」であったのでしょうが、このような時代背景の中、これだけに固執していては将来的展望は薄いと感じ、方向転換をしていく事となりました。

 もちろんこれまで同様関係省庁等への陳情、要望活動は継続していきますが、それ以上に会員の技術力と提案力の向上及び新分野への取り組みにも力を注げるような事業を展開し、会員の意識向上を図っていきたいと考えています。

 堅実な組織運営と同業他団体との強固なネットワークの構築、そして迅速でタイムリーな情報提供と教育・訓練活動を充実させ、会員メリットの転換を図っていきます。

 業界としても少し余裕を持って中長期的展望を考慮しながら、継続的に中から新たなアクションを起こす必要があるのだと思います。組織に今あるメリットだけを求めるのではなく、メリットを生み出すために努力を惜しまない力強い会員による組織力の充実を目指して支部活動を展開していきたいと思います。

 本部並びに各支部の皆様におかれましても、当支部の活動に対しご理解を頂き、ご支援ご協力をお願い致します。

(福井県支部 事務局)

仮設住宅に“緑の木陰”復興へ
緑化ボランティア

    九州総支部・福岡県支部

仮設住宅のある広場に常緑高木とベンチを設置した

 先の、福岡県西方沖地震で大きな被害を受けた玄界島では、島民の一部(100世帯250人)が今も福岡市内の仮設住宅で不便な生活を余儀なくされている。 日造協九州総支部と福岡県支部では、福岡県造協、福岡市造協及び公園施設業協会九州・沖縄支部と共同で、7月2日(土)午前9時から、かもめ広場で”木陰づくり“ボランティアを行った。 

 仮設住宅のある「かもめ広場」は、周辺に緑がなく、また、戸外で語り合える場もないことから、我々のフィールドである”みどり“を通じた支援ができればとの思いから、広場の中央に常緑高木の植栽とベンチ3台を置いた「こかげ」を作ることにした。

 当日は、30人のボランティアが参加、朝からの激しい雨の中で作業が行なわれ、5、6mのクス、モッコク、タブの3本が次々と植えられた。

 工事を見つめる仮設住宅の方からは、「これからは、木の下で皆と語り合えることができる」と、喜びの声も聞かれた。

(九州総支部・福岡県支部 事務局)

 

台風16号高潮
その後の調査行う
            香川県支部

 昨年8月30日台風16号の高潮により、香川県沿岸部では植栽帯も浸水し、海岸地域の公園や街路樹は大きな被害を受けました。台風接近と満潮時刻が重なり過去の記録(第2室戸台風)よりも約+50pの高潮となったものです。高松市内の街路樹では高木約2千本、海岸より1q以上のところまで冠水しました。樹木への被害は樹種、樹木の規格(体力)、根域の広さ(深さ)、土性、滞水時間等にも左右されるようであり、枯死との関係を確定することは不可能でした。
 植物に症状が出たのは非常に速く、草花では翌日、新植樹木や小径の高木で1週間以内、低木でも直接冠水した部分の葉は数日で褐変し、約1ヶ月の間に上部まで変色しました。
 被害区域の土壌を採取しpH(H2O)、塩分濃度、電気伝導度ECを調査しました。この初期の対応策としては塩分を除くことと考え、灌水や除塩剤の施工等を提案しました。しかし、分析と試験によると、その土壌の塩分を取除くには120L/u以上の水による希釈が必要であるとのため現実には困難であり一部の花壇等での施工にとどまりました。
 その後の台風23号では記録的大雨によって河川の氾濫、土砂崩れ等によりまたもや大災害となりました。
 この災害でも自然林や公園等の緑の損失は高潮災害での樹木被害をはるかに超えるものとなり自身の無力を感じたものでした。
 この大雨によって唯一改善できたのが高潮区域の土壌でありました。この降雨後で約50日経過し、この期間に約540oの降雨がありました(平年の年降水量の50%に相当する)。
 その後の土壌調査では塩分濃度、電気伝導度は低下しました。ただ、pH(H2O)については上昇傾向であり8・0を越えるアルカリ化傾向となりました。今後、植え替えにあたってはpHの矯正と植栽基盤の整備、樹種の選定について発注者に提案する予定です。
 高潮の樹木への影響や対策についての資料はなく、どのように影響が出てくるかわからない段階での対応であったため、その対策は手探りでした。県下の植栽基盤診断士と冠水路線の維持管理委託業者を中心に調査委員会を組織し、土壌の採取や分析を実施しました。
 なお、土壌の化学性の変化、樹木の観察、枯損木の調査を通じて客観的結果を下記に列記します。高潮発生後からの調査のため、高潮前の資料がないことや調査箇所の設定方法等多くの問題点は残りました。
 今夏は渇水の様相、渇水砂漠から緑を守るのが私達の使命となりそうだ。
 1.pH(H2O)の変化
 塩分溶脱後pH(H2O)が上昇した。成分分析ではMg やKがやや多くなっていた。pH(kcl)は下降した。
 2. 枯損木調査結果
 調査10路線(5月10日現在)
・高木被害 枯損数量/浸潮数量
 全 体 408/931 44% 
プラタナス 47/55 85%
 ユリノキ 43/56 77%
 アメリカフウ 231/317 73%
 トウカエデ 11/85 13%
 ハナミズキ 14/14 100%
 ケヤキ 3/178 2%
 オオシマザクラ 1/24 4%
 クロガネモチ 56/130 43%
 タブノキ 0/10 0%
 クスノキ 2/62 2%
・低木被害(樹種のみ)
 枯れが多く発生した樹種=アベリア、ボックスウッド、ツツジ類
 被害が少なかった樹種=ハマヒサカキ、シャリンバイ 
                                                (香川県支部 事務局 茂森 茂)

事務局の動き

【6月】

 1(水)・ 日本の景観を良くする国民大会

 2(木)・ 理事会

 7(火)・ 広報部会

13(月)・ 第5回財政・運営検討特別委員会専門部会

14(火)・ 正副会長・常任委員長合同会議

       事業委員会(在京)

       ・ 中央職業能力開発協会理事会・総会

20(月)・ IFPRAジャパン理事会・総会

21(火)・ 都市緑化技術開発機構評議員会 ・臨時理事会

         ・ 雇用改善推進事業ヒアリング

         ・ 勤労者退職金共済機構評議員会

22(水)・ 日本花普及センター理事会

23(木)・ 戦略開発特別委員会

         ・ 第2回財政・運営検討特別委員会

23(木)・ 平成17年度総会

24(金)・ まちづくりシンポジウム

27(月)・ 植栽基盤テキスト編集委員会

28(火)・ 都市緑化推進運動協力会

         ・ 正副技術委員長会議

29(水)・ 基幹技能者運営委員会

         ・ 技術委員会(全国)

 

【7月】

 6(水)・ 第6回財政・運営検討特別委員会専門部会

 7(火)・ 造園・環境緑化産業振興会会議

         ・ 「広報 日造協」編集会議

11(月)・ 建設事業関係功労者国土交通大臣表彰式

12(火)・ 栃木県支部 指定管理者制度講演会(講師派遣)

13(水)・ 公園緑地・屋外広告物連絡会議

15(金)・ 公園緑地折下功労賞選考委員会

19(火)・ 故 佐藤昌氏を偲ぶ会

         ・ ランドスケープコンサルタンツ協会との意見交換会

21(木)・ 第7回財政・運営検討特別委員会専門部会

22(金)・ 事務局長会議

26(火)・ 建設産業人材確保・育成全国会議

29(金)・ 建設業振興基金創立30周年記念式典