INDEX 広報 日造協 2004年11月10日 第368号
1面

都市に緑と公園を 東京・日比谷 全国大会を開催
都市緑化及び都市公園保全美化功労者  当協会入賞者
第20回「都市公園コンクール」         当協会入賞者
秋の褒章受章者   当協会から2氏に
「明日の日造協のために」を実施  各総支部と本部との意見交換会
【樹林】 東京都市町村部「公園」施設・環境等総合調査
     なぜ公園調査を続けるのか  公園情報センター 代表 山崎 眞 

2面

【技術レポート No.008】造園CPD制度の解説
     (社)日本造園建設業協会 技術調査部長 野村 徹郎
建設雇用改善推進月間  11月1日~11月30日 基幹技能者の育成など図る

3面

【総・支部だより】
     「かながわのみどりを創り 育てる講演会」を開催          神奈川県支部

     フェニックス危機に対応 緑化月間で講演会開く          宮崎県支部
【緑滴】   「造園」の認知度 伊藤 祐三(東光園緑化㈱)
【事務局の動き】

4面

【総・支部だより】
   webやNPOを運営・支援 支部会員2世の成長に期待   岩手県支部
      改正技能検定に対応  高校生に直接指導も          福島県支部
      水と緑の少年隊フォーラム 足尾に450人集め開催    栃木県支部
第31回全国造園デザインコンクール 12月13日応募開始 来年1月14日締切

 

1面

都市に緑と公園を
東京・日比谷 全国大会を開催

 受賞者と本部役員らで記念撮影

 「都市に緑と公園を」全国大会は10月29日、東京・千代田区の日比谷公会堂で開催、会場は千人を超す参加者で賑わった。
 大会は冒頭、主催者を代表して田邊昇學6日本公園緑地協会会長が「都市に緑や公園は欠かせない。景観緑三法など、各種施策を活用し、創意工夫を持って取り組んでいきたい」とあいさつ。来賓から、伊達忠一国土交通大臣政務官が祝辞を述べた。
 次いで「都市緑化及び都市公園保全美化運動功労者表彰」「都市公園コンクール」の表彰式(別掲)、洋画家・城戸真亜子さんの講演と、第24回緑の都市賞内閣総理大臣省を受賞した仙台市の「杜の都・仙台の百年の杜づくり」の取り組み、国土交通省都市・地域整備局公園緑地課高梨雅明課長から「最近の公園緑地行政について」報告された。

都市緑化及び
  都市公園保全美化功労者
                          当協会入賞者

 山村文志郎(花文造園土木㈱代表取締役、滋賀県支部)/今西信一(日経造園㈱代表取締役、京都府支部)/梅原二郎(尊農社緑地㈱代表取締役、大阪府支部)/杉山透(㈱宮野造園代表取締役、山口県支部)/丸山重之(㈱丸山緑地建設代表取締役、鹿児島県支部)/荻野靖也(京都府支部事務局長)

第20回「都市公園コンクール」
    当協会入賞者

 

 国土交通省都市・地域整備局長賞(造園施工部門)=練馬区立大泉橋戸公園(東京都練馬区)アゴラ造園㈱(東京都支部)・植文・勝楽建設共同企業体
 日本公園緑地協会会長賞(造園施工部門)=みなと坂船の公園他4公園(長崎市)西武造園㈱(東京都支部)

秋の褒章受章者
   当協会から2氏に

 政府は11月3日付けで04年秋の褒章受章者を発令した。当協会からは2氏が受章の栄に輝いた。
 熱海武久(59)熱海造園土木社長、宮城県支部、元宮城県造園建設業協会副会長
 小栗勝郎(65)岐阜造園代表取締役、岐阜県支部、岐阜県造園緑化協会理事長

各総支部と本部との意見交換会
「明日の日造協のために」を実施


 当協会は、造園建設業の団体として、造園技術の向上、造園事業の健全な発展を図り、もって都市環境の整備促進、都市緑化の推進等に寄与してきたところですが、平成15年度には、協会運営に必要な会費収入が諸般の事情により、大幅な減少となり、調査研究費、啓蒙宣伝費等を大幅に削減せざるを得なくなりました。
 協会本来の目的であるこれらの活動は、公益法人として、必須のものであるため、総務委員会に作業部会を設置して、検討を重ね、平成16年度から18年度の3カ年度に限定する「日造協事業活動強化緊急対策」を決定いたしました。
 会員の皆様には大変厳しい経営状況の中、臨時会費の負担をお願いいたしたところでございます。
 しかし、この「日造協事業活動強化緊急対策」は暫定的な対応策であり、協会活動の基本的な方向、組織、会員構成、会費のあり方等については別途、抜本的な対策を検討する必要があります。
 このため、今年度の事業計画には、「総支部を主軸にした協会活動の構成が実施されることにより、本部と総支部の役割分担をさらに明確にするとともに、総支部ごとに本部との意見交換会を開催し、連携を強化する」こととしています。
 この意見交換会には、総支部では、総支部長をはじめ、各支部長、役員等の皆様、本部からは成家会長、佐藤副会長、藤巻副会長、山田副会長、市川総務委員長、高橋技術委員長、高村事業委員長、事務局が出席し、活発な意見の交換が行われました。
 これらの意見交換の詳細は、メールにて会員の皆様にお送りいたします。
 この意見交換会は、本部からのパワーポイントによって、「日造協 活動の方針と展開」、意見交換のテーマ「事業活動のあり方」「情報提供のあり方と会員意向の反映方法について」を説明し、意見交換を行いました。
 また、情報提供として、指定管理者制度の概要、景観法の概要、造園CPD制度を説明しました。
 この意見交換会に先立って、北海道開発局、北陸、中国、四国地方整備局をはじめ、各地方整備局に、会長をはじめとする出席者が要望活動等を行いました。
 各総支部でいただいたご意見、ご提案等については、財政・運営検討特別委員会をはじめとし、各委員会で、今年度末までに方向付けが得られるよう、ご検討を進めていただく予定です。

【樹林】
東京都市町村部
  「公園」施設・環境等総合調査
        なぜ公園調査を続けるのか
公園情報センター 代表 山崎 眞

    

 

 

 
 東京都市町村部「公園」施設・環境等総合調査は2001年12月30日から始め、2004年9月3日に完了しました。調査「公園」数は3991カ所。ここで言う「公園」には都市公園法で規定されている公園以外に子どもの遊び場や子どもの広場、そして緑地・緑道、保存樹林なども含みます。
 調査は、公園名、所在地、最寄り駅、公園の主形態、公園サイズと面積、遊具現況と数量、主要樹木類(一部草本含む)、利用者状況、トイレの有無と形態、地べたの種類、園内の広場・遊具地・植栽地・その他の割合、看板(貼り紙等含む)の種類と内容、ベンチの種類と数量、防災施設内容、ゴミ箱の有無、街灯の有無と数量、水場の有無と形態、灰皿の有無と数量、時計の有無と数量、水関連施設の有無と種類、スポーツ関連施設の有無と種類、付設付帯施設の有無と種類、近隣環境状況、近隣公共施設等状況、周辺店舗状況、外からの園内見通し率、園内清掃状況、出入口仕様、果樹及び山菜状況、花壇の有無(狭い意味での花壇)、野鳥状況、昆虫状況、落書きの有無、その他特記事項等の37項目(東久留米市、小平市、三鷹市の一部は若干異なる)です。
 調査対象市町と「公園」数は、東久留米市(114)、小平市(253)、三鷹市(183)、清瀬市(83)、西東京市(120)、武蔵野市(148)、調布市(207)、東大和市(88)、東村山市(114)、小金井市(134)、立川市(195)、昭島市(73)、国分寺市(127)、府中市(264)、狛江市(75)、武蔵村山市(62)、稲城市(72)、国立市(81)、日野市(150)、八王子市(617)、青梅市(135)、福生市(72)、羽村市(81)、あきる野市(45)、多摩市(169)、町田市(286)、瑞穂町(43)の27市町です。
 過去の東京23区「公園」利用実態調査から年月を経て、今回行なった調査を一言で振り返るのは難しい。それでも敢えて語るなら「公園が地域コミュニティに寄与していない。公園と公園利用が生き生きとしていない」だろうか。
 私が「なぜ公園調査を続けるのか」を記す前に、何故みなさんが公園調査を民間として積極的に行なわないのかが不思議です。公園には「公園づくり」のヒントがいっぱいあります。さて「なぜ公園調査を続けるのか」ですが、一見公園に係わる情報は多いように思われていますが、それは大型の有名公園が中心です。日々の生活の中で、地域社会にとって大切な共有財産である中小公園の情報が実はほとんど無いのです。身近な公園のデータこそが、いろいろな意味で地域社会には不可欠です。  
 都市公園にも指定管理者が導入され、地域社会に根ざした「公園づくり」が加速していることにご理解頂きたいと思います。
 現在、東京23区「公園」全データ・最新版をスタートしています。ここに記載したデータの多くは公園情報センターの総合サイトでご覧頂けます。

2面

【技術レポート No.008】
造園CPD制度の解説
(社)日本造園建設業協会
技術調査部長 野村 徹郎

表1
(表はクリックすると大きくなります)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表2
(表はクリックすると大きくなります)

 

 

 前回は、造園継続教育 「造園CPD制度」(CPD=Continuing Professional Development)について概要を紹介しました。今回は、具体的に「造園CPD」を活用するにはどうするか?について説明をします。

造園CPD制度の仕組み
 「造園CPD」は、造園に携る技術者の自己学習の成果を造園学会が第3者機関として証明するものです。
 造園CPDでの自己能力開発の目標設定から実施証明書の受領までは、次の図のような流れとなります。

表1

 CPD認定プログラム
 造園CPD制度の対象となるプログラムは、プログラム認定委員会で認定されたもので、次のような主催によるものになります。
 ①造園CPD協議会に参加している団体主催のプログラム
 ・日造協の主催する講習会、研修会、見学会などが該当します。
 ②日本造園学会主催のプログラム
 ・全国大会や見学会などが該当します。
 ③他団体主催のプログラム
 ・造園CPD協議会に参加していない主催者のプログラムは、主催者の申請に基いて認定されると造園CPDの認定プログラムとなります。
 さらに土木学会、日本建築学会、農業土木学会、日本技術士会、地盤工学会など他のCPDプログラムとの相互認定も可能となるよう準備が進められています。

 CPD単位
 造園CPDの教育形態は、内容レベルに応じて18区分していますが、大きく分けると以下の4タイプになります。
 ①参加学習型:講習会、シンポジウム等への参加、企業内研修など
 ②情報提供型:論文等の発表、技術指導、技術会議への出席など
 ③実務学習型:OJT、業務経験など
 ④自己学習型:学会誌購読、通信教育、教育ビデオテープによる学習など
 造園CPDでは、CPDに費やした時間と内容に応じた重み係数を考慮して単位にするという考え方になっています。
 重み係数は、参加型の学習での1時間1単位を基本としていますが、技術的な執筆などは重み係数が高く、専門紙の購読などの自己学習は低く設定しています。
 その他の、論文発表や技術指導などで、重み係数の考え方になじまないものは単位を設定しています。
 重み係数と単位の考え方は次の表のようになります。
 そのほかにも、見学会や、展示会への参加もCPD単位の対象となります。

 教育形態とCPD単位

表2

 造園CPDの実施
 ・計画と分析
 造園CPDは継続的に行っている自己学習の支援でもあります。そのために、自分の教育が特定の分野や形態に偏らないように、バランスよく実施することが必要になります。
 自分に適した目標や計画をたてることで、漠然と学習するよりも効率的になるでしょう。
学習分野と参加形態は次のように分類できます。
 ■学習分野
  造園専門技術
  総合管理
  基礎共通
  周辺技術
 ■学習形態
  参加学習型
  情報提供型
  実務学習型
  自己学習型
 各自の現在と将来の目標と結果を分析するプログラムも造園CPDのホームページで提供されていますので、参考にしてください。
 ・記録
 造園CPDを実施するには、実施結果の証拠としてCPDの記録をつけなければなりません。
 個人の記録は、造園CPDのホームページからダウンロードできるエクセル形式のCPD記録簿に集計しておきます。現在は手書かエクセルファイルのダウンロードですが、本格実施ではWEBでの入力も予定されています。
 記録簿の表には次の事項を記入するようになっています。
 №/年月日/開始時刻/修了時刻/記号/教育分野/番号/教育形態/CPD名称/主催者等/CPD内容/時間/重み係数/CPD単位/CPD単位累計
 協議会参加団体主催のプログラムの参加証明も、本格実施では磁気カードによる自動履行記録が予定されています。
 認定プログラム以外の自己学習などは、参加証明はありませんが、自己記録をすると共に、内容の概要や領収書、学習結果の記録などの証拠を保管することになります。
 いずれにしても、造園CPDは自己責任で記録するものです。

 造園CPD実施の証明
 来年度の本格実施からは、造園CPD登録者からの申請により、造園CPD事務局から「造園CPD実施証明書」が発行されます。
この証明書は、各造園技術者が実施した学習結果を造園学会が第3者機関として証明するものです。技術者個人の技術力の維持と向上は、本人の自主性と自己責任に任せるべきものであるというのが理想ですが、継続教育の概念が一般的なものでないこと、技術者本人が実施したと言うだけでは客観的な信頼性が低いこと、社会の動きが技術者個人を評価するようになっていること、などから技術者の努力結果を第三者が証明し認知させることが必要である、との考え方により行われるものです。
 来年の4月からの本格実施へ向け、造園学会と造園CPD協議会に参加する団体が一体となって、多くの人に周知され参加しやすい制度にするために様々な検討を進めています。
 造園CPD制度により、造園系技術者の職能と社会的な認知度が高まるよう、数多くの方の参加をお願いします。
 「造園CPD制度」に関するさらに詳しい内容、プログラム総覧・記録簿などは日造協のホームページからのリンクまたは、造園学会のホームページの「造園CPD制度」のページで入手することができます。
 日造協ホームページ:./menu/menu_f.html
 造園CPD制度ホームページ:http://www.land scapearchitecture.or.jp/lacpd/index.html

お知らせ
 造園CPDの本格運用は平成17年度からとなり、現段階では、実施証明書などは発行されていません。しかし、今から本格運用への対応を図り、不明な点をなくしておくことが、大切です。

建設雇用改善推進月間
 11月1日~11月30日
基幹技能者の育成など図る

 厚生労働省、国土交通省、独立行政法人雇用・能力開発機構は、11月1日から11月30日まで、「夢築く 建設(わたし)の職場 雇用改善」をスローガンに、平成16年度の建設雇用改善推進月間を展開している。
 同月間は、建設産業が日本の全労働者の1割が働く基幹産業でありながら、受注生産、屋外生産の特有性から、不明確な雇用関係、労働災害の多発、労働福祉の立ち遅れなど、多くの改善を要する問題がみられることから、事業主や関係者の理解と関心を高め、建設業の雇用改善を図るため、建設雇用改善推進の集い、都道府県建設雇用改善推進大会、建設業に働く若者からのメッセージの募集、各種ポスター、リーフレットによる広報など、広範な啓発活動を展開する。

3面

 

【総・支部だより】
「かながわのみどりを創り
育てる講演会」を開催
           神奈川県支部

図1 美しい景観と豊かな緑を総合的に実現するための「景観緑三法」の整備

 

図2 鎌倉市の緑の保全創造に係る展開

 

 
 神奈川県の後援を得て、8月6日(金)ホテル横浜ガーデンにおいて「かながわのみどりを創り、育てる講演会」を開催したところ、行政側から神奈川県を始め横浜市・川崎市両政令指定都市等十市二町の公園・緑化事業担当者37名、支部会員88名、(社)日本造園修景協会、(財)神奈川県公園協会等連携団体、また、本部から藤巻副会長の参加も得て盛会裡に開催され大変有意義な講演でした。
 講演は3部構成となっており、第1部では ~緑が都市を変える~「景観緑三法について」(図1)前国土交通省都市・地域整備局公園緑地課事業調整官舟引敏明氏から、景観は非常に大切な国の財産であると宣言した画期的な景観緑三法の企画・立案・成立までの経緯と ①今、なぜ景観・緑か ②景観三法の概要 ③緑の保全・創出を推進する枠組み ④都市緑地保全法等改正の概要 ⑤支援措置について、これまでの都市公園整備事業の転換と美しい景観豊かな緑を総合的に実現整備するための新しい制度創出の法改正の内容と各種のツール、自治体の緑化行政推進の支援策、民間の活用等について今後の方向性を含めて分かりやすく大変示唆に富んだご講演と美しい国づくり実現に向けての決意を述べられ私ども意を強く致しました。
 第2部では「緑の道路と街路樹の管理について」(社)日本造園建設業協会技術調査部長野村徹郎氏から、①街路樹の歴史 ②街路樹に求められるもの ③街路樹の管理・課題 ④街路樹剪定士制度 ⑤街路樹あれこれについて、街路樹の果たす役割と時代の変遷による役割の変化、街路樹管理のあり方、スペシャリストとしての街路樹剪定士の養成と活用について映像事例を用いてご説明をいただき改めて街路樹剪定士の役割を認識させられました。
 第3部として平成15年度第23回緑の都市賞国土交通大臣表彰を受賞された「鎌倉市の緑の保全と創造について」(図2)鎌倉市都市整備部次長土屋志郎氏から鎌倉市緑の基本計画に基づく先進的な各種緑の施策展開について具体的事例を交えて講演賜り緑事業の推進に向けてのご努力に敬意を表するとともに大変参考となりました。
 講演会終了後の「かながわのみどりを創り、育てる集い」には、公務ご多忙の中、国土交通省公園緑地課高梨雅明課長にご臨席賜り、また、3人の講師の方々にもご出席いただき、神奈川県を始め県内市町の行政担当者、支部会員間の交流・意見交換により意思疎通が図られました。
                                (神奈川県支部 事務局)

【総・支部だより】
フェニックス危機に対応
緑化月間で講演会開く
             宮崎県支部

現状視察
講演会
ヤシオオオサゾウムシの幼虫
交流会

 
 日造協宮崎県支部では、(社)日本造園修景協会宮崎県支部との共催による緑化月間講演会を開催、県内外の行政機関・学会をはじめ日造協会員等200余名が参加した。テーマはフェニックス。
 大西洋カナリー諸島を原産とし、南国宮崎を代表する樹木として昭和41年には県木に指定されたフェニックスが、今、危機に晒されている。ヤシオオオサゾウムシの食害による立枯れ被害の拡大である。
 午前10時から宮崎空港駐車場内の被害フェニックスを視察。講演会では、宮崎県環境森林部徳満和徳氏、並びに南九州大学の諸先生方の、①フェニックス問題の経緯と現状報告、②ヤシオオオサゾウムシの被害状況、③立枯れ病とそれによる被害状況、④ヤシオオオサゾウムシと立枯れ病の対処状況等の各テーマの講演に続いて、パネルディスカッションが行われた。
 ヤシオオオサゾウムシについては、宮崎県における発生が確認された平成10年から本年3月までの被害本数は、確認されているだけで114本、フェニックスの幹の上部や葉っぱの付け根付近で孵化した幼虫が内部を食害するため、中心部の葉っぱから枯れはじめ、次第に力なく垂れ下がり、立ち枯れの状態になるという。平成11年度以降の5年間に、国、県、市町村や民間のフェニックス3353本について、防虫ネット、薬剤散布等の予防対策が講じられているが、根絶するに至っていない。今後、官
・学・産によるプロジェクトチームの結成を目指して取り組みを進めていくとのことである。
 宮崎県では、薬剤の散布、被害木の伐倒・焼却処分。葉を切り落とし、樹冠部をビニール等で被覆して、成虫の飛散を防ぐ等の防除方法を呼びかけている。                         (九州総支部 事務局長・一丸 敏和)

【緑滴】
 「造園」の認知度
   伊藤 祐三(東光園緑化㈱)

 我々の造園業界は、指定建設業28業種の一つ「造園建設業」の中で仕事をしており、造園工・造園技能士・造園施工管理技士・造園訓練指導員等、当たり前の話だが、「造園」という言葉をキーワードにして仕事が成り立っています。
 建設業界では一般的に通用する「造園」という言葉は、一般の人達にどのくらい認知されているでしょうか。
 「造園」と言う言葉から連想される事は、京都に代表される日本の文化遺産としての日本庭園や宮廷庭園等の古めかしい形式や難しいイメージがあるのではないでしょうか。むしろ一般の人には、自分の庭で季節の草花を植えつける園芸としての「ガーデニング」の言葉のほうが今日では一般的になっておりますが、家庭で花を扱うガーデニングも「造園」の一部分である事を理解されていません。
 最近は造園を教える専門高校でも、造園科コースでは生徒が集まりにくいという話を聞いております。進学を指導する中学の先生や生徒の親も「造園」でおこなう仕事内容の理解が乏しく、結果的に造園科コースを志す生徒が減少してきているのが現状のようです。
 「造園」はこの21世紀を展望した時、環境破壊からの緑化、自然と人間社会のあり方、住環境の創生などといった広く新しい視点に立って社会に寄与する、造園技術者が持っている感性が求められる時代がきていると思います。
 これから「造園」を広く一般の人に理解してもらうためには、全国組織である日造協の役割が大変重要であり、特に現代の若者の情報収集手段であるホームページを大いに活用し、また、テレビや新聞などにも事あるごとに情報を送り込み、広く「造園」をアピールして行かなくてはなりません。
 その中で今回NHK朝の連続テレビ小説「わかば」で、造園家を志す主人公が活躍する番組が始まり、造園をお茶の間に紹介するチャンスであり大変有意義で喜ばしい事であります。私も広報委員の一人として、応援していきたいと思います。

【事務局の動き】

【10月】
1(金)・ しずおか国際園芸博覧会閉幕展示会国際コンテスト審査会
1(金)・都市緑化月間街頭キャンペーン
4(月)・総務委員会企画部会
4(月)・ 「広報日造協」編集会議
6(水)・ 建設業退職金共済制度加入促進等連絡会議
7(木)・全国意見交換会九州総支部
7(木)・国際ユース庭園フォーラム
7(木)・ 建専連全国大会
7(木)・ 中央職業能力開発協会理事会・臨時総会
11(月)・しずおか国際園芸博覧会閉会式
13(水)~15(金)・造園工事基幹技能者認定研修会(山口)
13(水)・ RLA資格認定試験検定委員会
14(木)・ 全国意見交換会中部総支部
19(火)・ 戦略開発特別委員会
19(火)・ 「緑の都市賞」表彰式
20(水)・全国建設産業教育訓練協会事務局長会議
25(月)・(財)都市緑化技術開発機構 屋上・壁面・特殊緑化技術表彰式
27(水)・正副会長常任委員長合同会議
29(金)・ 「都市に緑と公園を」全国大会
【11月】
5(金)・近畿総支部役員連絡協議会
5(金)・ 建設雇用改善推進の集い
8(月)・ 「広報日造協」編集会議
8(月)・ 「世界都市計画の日」日本集会
9(火)・ 財政・運営検討特別委員会
10(水)~12(金)・(社)日本公園緑地協会 公園緑地講習会
11(木)・ 造園・環境緑化産業振興会
18(木)・ 公園緑地管理財団設立30周年記念式典
19(金)・全国都市公園整備促進大会
25(木)・ 都市整備推進協議会現地視察

4面

【総・支部だより】
webやNPOを運営・支援
支部会員2世の成長に期待

               岩手県支部

優勝チーム。競技2日目のもよう
競技を終えて参加者で記念撮影

  
 はじめに、静岡県支部の皆さん「花・博」大変ご苦労様でした。聞くところによりますと、入場者数も初期の目標を大幅に上回り、大成功のこととお慶び申し上げます。
 さて、わが岩手県支部の最近の出来事と申しますと、2000年11月から、ボランテイア活動として、ホームページで「緑の相談室」を開設し、県民の皆様から、街づくり、道路作り、都市景観問題に関する質問から、一般家庭の庭造り・ガーデニングなどの緑に関する相談・質問を受け、緑の専門家として回答・アドバイスを行ってきました。
 この度、この「緑の相談室」を核として、緑化に関する各種の相談に応じると共に、緑の持つ特性を啓蒙し、併せて、良好な景観形成の創造を目指して、自然資源を活用したまちづくりの推進に関する事業を行い、県民が安心して暮らせる地域社会の実現に積極的に協力するため、特定非営利活動法人を設立することとなりました。
 事務局としては、このNPOの企画運営を、支部会員の二世に委ね、若さにあふれたユニークな企画運営を通じて、県民、事業者、行政と一体となって、環境にやさしい地域社会の実現に向けた取組みを経験し、将来、立派な、一人前の経営者、支部会員として成長することを期待するものであります。
 本部並びに他の支部会員の皆様、どうかこの二世たちの今後の活躍を、やさしく、または、厳しくご指導くださるようお願いします。
 また、10月23日、24日の両日、岩手県において、「第42回技能五輪全国大会」が開催されたところであります。当支部といたしましても、「いわて技能五輪」造園実行委員会の委員として会場準備から、競技運営まで積極的に対応したところであります。
 大会も無事終わり、岩手県から4チーム出場して、金賞、銀賞、銅賞2と、本県の4チームともに賞を貰えたことを誇りに思っております。さらに、大会関係者から競技場会場、準備設営、運営において褒められ、感謝されました。県支部、実行委員会としても大変うれしく満足のいく大会となりました。佐々木東北総支部長、大泉理事も視察に来られ、今後の総支部の対応も楽しみにしております。また、全国から来られた日造協の関係者の方々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
                                 (岩手県支部事務局)

【総・支部だより】
改正技能検定に対応
高校生に直接指導も
             福島県支部

各種講習会が開催され、座学や実習を行った

 
 当支部の本年度の取り組みは、基本を見直し、魅力ある支部づくりをテーマに事業の実施をしております。一つでも多く技能等の資格を取得したい、技術、技能のレベルアップをしたい等の会員の希望を取り入れ「施工管理」「技能検定」を受験するための受験対策予備講習会の開催、特に今年度は、技能検定受検資格の緩和により3級を受検する高校生が増えたため、それに対応すべく2カ月にわたり、会員が交代で高校に出向き個別指導を実施してまいりました。
 また、技能向上のための「刈り払い講習会」、農薬取り締まり法の改正による「農薬講習会」、若手技術者を対象とした「石の加工講習会」の開催、そして、10月に岩手で開催された第42回技能五輪全国大会へ出場する若手選手への指導を実施しました。
 10月以降には、街路樹剪定講習会、また、(社)福島県造園建設業協会(郡山、県南、会津各支部)との共催で、日本庭園「真・行・草」の内、今回は「真・草の庭」作庭講習会の開催を予定しております。
 技術講習会のほかには、去る6月に、県造協と共催で「浜名湖花博」への研修を実施し、80名程度の参加があり、造園に関して見聞を広めてまいりました。
 2004年より「造園CPD制度」が開始され、支部において実施される認定プログラムも広く記録の対象となり、個人継続的教育が評価され、質が高まる制度になることを期待するところです。
                           (福島県支部事務局・中島 都)

【総・支部だより】
水と緑の少年隊フォーラム
足尾に450人集め開催
            栃木県支部

 

植樹会場で苗木を植える参加者

 
 日本造園建設業協会栃木県支部と栃木県造園建設業協会による「第3回 水と緑の少年隊 フォーラム in 足尾」(栃木県・栃木県教育委員会・足尾町・下野新聞社及び足尾に緑を育てる会の後援)は、若葉が谷間を渡る風になびく中、晴天に恵まれた平成16年5月15日(土)県内外から小学生ら450名が参加して行われました。
 本フォーラムは、土地開発等により、破壊されつつある緑を守り育てることの重要性を次世代を担う子供たちに改めて認識してもらうとともに、ボランティア精神を育むことを目的に開催するものであり、高梨道太郎 栃木県造園建設業協会会長から、「皆さんの手で足尾の荒廃した山に苗木を植え、その木が育って緑のダムが造られ、その緑のダムが私たちの生命の根源である水と空気を供給してくれることを実体験として学んでほしい」との趣旨説明がありました。
 植樹会場では、17班に分かれた少年隊員が、保護者や協会会員と力を合わせてヤマザクラなど大苗木300本を植樹し肥料や水をやり、鹿の食害から苗木を守るネットを巻いたあと、それぞれのネームプレートを取り付けて作業を終了しました。
 少年隊員は、各班ごとに記念撮影をした後、足尾町役場職員と足尾に緑を育てる会員による心づくしの豚汁で談笑しながら昼食をとり、自然を満喫して帰路につきました。
 なお、県造協会創立30周年を迎えた今回は、その記念事業の一環として、来賓の方々の手によって「紅八重枝垂れ桜」の幼木を植樹しました。
                             (栃木県支部長・増田 泰男)

第31回
全国造園デザインコンクール
12月13日応募開始
     来年1月14日締切

 平成16年度 第31回全国造園デザインコンクールの応募受付けが12月13日から来年1月14日まで行われる。
 同コンクールは、当協会が主催、文部科学省、全国農業高等学校長協会の後援と(社)ランドスケープコンサルタンツ協会、全国高等学校造園教育研究協議会の共催で行っているもの。
 募集目的は、造園の設計及び製図技術の向上と奨励。応募資格は、「一般の部」「大学生の部」「高校生の部」。
 課題は、A住宅庭園部門(個人住宅庭園)、B街区公園部門(街区公園)C実習作品部門(作庭、駅前・街角などの広場、緑道、校庭緑化、花壇など)の各部門ごとに用意され、街区公園の場合、地形のほか、公園およびその周辺の状況や設計指針が示されている。
 提出書類は、図面の規格A1またはA2(部門による)で、図面の枚数はA、B、C共各1枚。図面の紙質は、ケント紙または原図をコピーした用紙(パネル等の折り曲げられないものは不可)。送付する図面には、「テーマ」を必ず記入。そのほか、設計主旨説明、方位、縮尺などを明記。施設名、樹種名等、説明を必要とするものは、直接平面図に書き入れるか凡例を使用。応募要項は日造協ホームページで閲覧・請求できる。
 なお、応募期間は、平成16年12月13日 (月) より平成17年1月14日 (金)(当日消印有効)。応募作品の送り先は、神奈川県立中央農業高等学校(担当・上治正美先生)〒243・0422 神奈川県海老名市中新田1163、TEL046・231・5202。
 審査は平成17年1月中に行い、結果は、広報「日造協」および当協会ホームページ(http://www. jalc.or.jp)等で発表。表彰式は、平成17年2月4日 (金) に行う。