INDEX 広報 日造協 2004年9月10日 第366号
1面

平成17年度 国土交通省 都市公園・緑地保全等 事業予算概算要求 
      事業費 3001億円 前年度比1・09倍に
平成17年度 環境省 自然公園等 事業概算要求
       総事業費 218億円 前年度比1・14倍に
 人事異動 国土交通省9月1日付
 全国労働衛生週間
       9月1日~30日まで準備期間 本週間は10月1日~7日
【樹林】 『緑が人を幸せにする』
       NHK大阪放送局芸能部「わかば」   チーフプロデューサー  小林 千洋

2面

平成17年度 国土交通省 都市公園・緑地保全等  事業予算概算要求 
      詳報 重点4分野要求概要
          新規要求事項と重点要求事項
          道路局関係の施策
          河川局関係の施策
【緑滴】 THINK OR SINK
      鈴木 誠司  (㈱日比谷アメニス)    

3面

【技術レポート No.006】 指定管理者制度の概要
      
(社)日本造園建設業協会 技術調査部長 野村 徹郎
【健康と食生活】 第22回 「正しい食事と健康」
  女子栄養大学 生涯学習講師  管理栄養士   勝山 登美子 氏

4面

【総・支部だより】
     景観と緑環境の共生をめざして              佐賀県支部
     88クリーンウォーク四国 道路ふれあい月間で実施  香川県支部
お知らせ フェニックスの危機に挑戦
【事務局の動き】

 

1面

平成17年度国土交通省
都市公園・緑地保全等
        事業予算概算要求

             事業費 3001億円
             前年度比1・09倍に

 

 表 平成17年度予算概算要求額


 国土交通省は8月末、平成17年度都市公園・緑地保全等事業予算概算要求概要を発表。要求総額は事業費ベースで、前年度比1・09倍の3001億5800万円で、このうち国費は1490億3400万円で、前年度比1・10倍となった。
 概算要求の基本方針には、①緑とオープンスペースの総合的・計画的確保 ② 社会資本整備重点計画の実現――が掲げられ、都市域における水と緑の公的空間確保量を平成19年度までに約1割増(平成14年12㎡/人→平成19年13㎡/人)とする指標などを示した。
 新規要求事項及び重点要求事項では、(1) 総合的な緑地環境整備の推進(緑地環境整備総合支援事業の拡充)(2) 歴史的景観形成活用への支援 (3) 都市公園等統合補助事業の活用による少子高齢化への対応の充実――を図る。
 事業の効率的・効果的実施についての取り組みでは、地方公共団体がより裁量的に事業を執行できるよう、(1) 統合補助事業制度による事業を推進 ① 都市公園等総合補助事業 ② 古都保存統合補助事業 ③ 緑地保全等統合補助事業 ④ 緑地環境整備総合支援事業を実施。(2) 補助事業制度の合理化では、「国と地方にかかる経済財政運営と構造改革に関する基本方針」に基づき、都市公園については、整備水準の向上等を踏まえ、引き続き事業を重点化。(3) 事業評価の的確な実施では、①新規採択時評価 ② 再評価③ 事後評価を実施。(4) 事業間連携による総合的施策の推進では、①「緑の回廊構想」の推進 ② 東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点を整備。(5) 整備プログラム等に基づく着実な事業実施では、① 国営公園整備プログラム ② 防災公園整備プログラム ③ 個別補助事業に係る時間管理概念の徹底を推進。(6) 地域の多様なニーズへの対応では、① 地域の状況に応じた都市公園整備の推進 ② 多様な主体による公園整備・管理への参画の促進。(7) PFI事業の推進。(8) コスト縮減
  ―― を図る。
 税制改正要望では、認定緑化施設に係る特例措置の延長とともに、今年度創設された建築物の新築等について、一定割合以上の緑化を義務付ける制度による緑化施設について、特例措置を講じることとした。
 これにより、① 設置義務付け緑化施設の特例措置の創設では、固定資産税・課税標準2分の1(恒久)、適用対象・緑化地域、地区計画等緑化率条例の規制の対象となる区域 ② 認定緑化施設の特例措置の延長では、固定資産税・課税標準5年間2分の1、適用対象・緑化重点地区において、市町村の認定を受けた緑化施設整備計画に基づいて設けられる緑化施設 ―― とした。
(詳細2面)

自然公園等 事業概算要求
  平成17年度 環境省
            総事業費 218億円
            前年度比1・14倍に

 環境省は8月末、平成17年度自然公園等事業概算要求・要望事項を発表した。これによると要求額は、前年度比1・16倍の161億7200万円で、総事業費は218億1800万円で、前年度比1・14倍となった。
主な事業は4つ。(1) 自然生態系の保全・再生では、各省連携、市民参加により、湿原、干潟、藻場、里山などの失われた自然を再生するための整備を推進。(2) 国立・国定公園の適正な利用の推進では、新規に「地域利用環境重点整備事業」を追加したほか、快適で安全な利用を推進するため、自然エネルギーを利用した整備、利用拠点の総合的な整備、地域の一体的な景観形成やバリアフリー化のための整備等を推進。(3) 里地里山の自然を体験するフィールド整備では、自然体験活動推進整備事業を進め、自然環境を活かした環境学習や市民参加の保全活動など、多様な自然体験のためのフィールド整備を推進。(4) 自然歩道ネットワークの形成では、新規に「ふれあい島のみち整備事業」を創設するほか、日本全国の風景地を結び、沿線の文化や歴史に触れるための歩道、情報提供施設、利用拠点施設を整備。利用集中により荒廃した登山道を保全・修復する施設、離島の特徴ある自然資源にふれるための周遊歩道等の整備を促進する。

人事異動  国土交通省
 都市・地域整備局関係9月1日付

 ▼九州地方整備局建政部都市・住宅整備課建設専門官=中村孝(公園緑地課国営公園整備係長)
 ▼公園緑地課国営公園整備係長=高橋涼(九州地方整備局雲仙復興事務所工務課)

全国労働衛生週間
9月1日~30日まで準備期間
本週間は10月1日~7日

 平成16年度(第55回)全国労働衛生週間は、「レッドカードが出る前に心とからだの健康づくり」をスローガンに9月1日から30日までを準備期間、10月1日からの一週間を本週間に全国一斉に積極的な活動が行われる。事業所においても周知し、自主的な労働安全衛生活動に務めたい。

【樹林】
『緑が人を幸せにする』
NHK大阪放送局芸能部「わかば」
チーフプロデューサー  小林 千洋
    

 

 

  「街を緑でいっぱいにしてみんなを幸せにしたい」――。9月27日から始まるNHK連続テレビ小説「わかば」のヒロイン・高原若葉は心に誓います。阪神・淡路大震災で建築家の父を亡くし、父の果たせなかった緑豊かな庭のある住宅作りを志して造園大学で勉学に励んでいるところからこのドラマは始まります。宮崎の豊かな緑の環境に震災の心の傷を癒され、元気になったヒロインは生れ育った神戸に帰ろうとします。そして、亡き父との「緑溢れる庭のある住宅作り」の約束を果たそうと周りの反対を説得し、社会全体が不況に苦しむなか神戸の街で見習いから現場の修行を始めることになるのです。
 若葉の心の中には、もう一度神戸で母と弟と一緒に暮せるようになりたいという強い願いがあったのです。また若葉にとって神戸は、震災で別れて以来久々に再会する樹木医の祖父が住んでいる地であり、祖父はその後の様々な仕事で困難にぶつかる若葉を暖かく見守り造園家のあるべき姿を教え諭すことになっていきます。こうしてヒロイン若葉は造園会社の仲間や神戸で知り合いになった人々と交流しながら成長していくことになるのです。
 今回、連続テレビ小説を制作するにあたってテーマを色々考えた結果、今の世の中は心の潤いを求めている、それならば『緑』というキーワードでこの物語を作れないかと考えました。当然、震災後10年を迎える神戸と宮崎の共通項としても緑はうってつけでした。そして『家族の再生』と『都市の緑の再生』を重ね合わせ、宮崎の芋焼酎生産者のDNAを受け継ぐヒロインに仕立て上げたのです。
 思えば私も幼い頃、父の庭の手入れを手伝い、その父のまねをしているうち、知らず知らずに花壇作りや植木の剪定を何となく覚えてしまったものでした。これが『緑』との出会いであり、心の中に幸福だった子供時代の思い出として刻み込まれているのです。
 現在の私は芦屋のマンション暮らしで中々庭の緑に接する機会は少なくなりました。ですがすぐ歩けば緑に囲まれた池や桜の並木があります。このように何処に転勤しても何故かいつも交通の便が多少悪くとも窓から緑がたくさん臨める場所を必ず選んでいる自分がいるのです。心のどこかで人間の生活空間には緑が不可欠だと感じているからかもしれません。
 最近のマンションや一戸住宅でのガーデニングブームや盆栽の密かなブームは現代人の緑や自然への憧れを象徴しているように感じます。ドラマでも様々な人々の心の葛藤を描いてゆきますが緑が人を幸せにするという固い信念でこの番組を制作していこうと思っています。是非「わかば」をご覧頂いて皆さんの心に緑の物語を刻んで頂きたいと思います。

2面

平成17年度 
公園・緑地関係予算 概算要求

 

 

 

社会資本整備重点計画で
定めた目標と事業・指標

 

緑地環境整備総合支援事業

 平成17年度都市公園・緑地保全等事業予算概算要求(記事1面)は、①緑とオープンスペースの総合的・計画的確保 ②社会資本整備重点計画の実現――の2つの基本方針によって要求された。
 「緑とオープンスペース――」では、「観光立国行動計画」や「美しい国づくり政策大綱」などへの対応、良好な景観形成等を目的として整備された景観緑三法の的確な推進を図るため、既存制度とあわせ、同法で措置される各種制度の効果的な活用を含め、所要の施策の充実を図る。
 また、都市公園整備と緑地保全事業の一体的実施、道路・河川などの事業間の連携によって、総合的、効率的、効果的に緑とオープンスペースの確保を推進する。
 一方、「社会資本整備重点計画の実現」では、計画で定められた重点目標の達成を図るために事業を実施(表・4つの重点目標)。
 個別の政策課題に重点を置きつつ、総合的・計画的な施策の展開を図り、都市における緑とオープンスペースを確保し、総合的・横断的目標である「重点目標の“水・緑豊かで美しい都市生活空間等の形成等”」の実現を図る。

重点4分野要求概要

 重点4分野では、事業費2809億円(国費1402億円)を要望した。
 このうち、①魅力ある都市として、事業費1212億円(国費501億円)を要望。「避難地・防災拠点等となる都市公園等の整備」を掲げ、都市の防災機能の向上によって、安全で安心できる都市づくりを図るため、地震災害時に復旧・復興拠点や復旧のための生活物資などの中継基地などになる防災拠点、周辺地区からの避難者を収容し、市街地火災などから避難者の生命を保護する広域避難地や地域住民の集結場所、消防救護活動の拠点などに機能する一時避難地となる防災公園等を緊急に整備する。
 ②個性と工夫に満ちた地域社会では、事業費987億円(国費642億円)を要望。「地域の個性を活かした観光振興、地域間の交流・連携のための拠点となる都市公園等の整備」を求め、快適で個性豊かな地域づくりを図るため、地域の歴史的・文化的資源の活用などにより、地域の個性を生かした観光振興拠点となる都市公園、地域間の交流・連携の拠点となる都市公園や国家的イベントの会場となる都市公園、国営公園など、広域的レクリエーションの拠点となる都市公園等の整備を推進する。
 ③公平で安心な高齢化社会・少子化対策は、事業費50億円(国費23億円)で、「歩いていける身近な場所における都市公園の整備」を掲げ、歩いていける身近な場所において、高齢者をはじめとする地域住民の健康運動の場や子どもの遊び場などになる公園を計画的に整備する。
 ④循環型経済社会の構築・地球環境問題への対応においては、事業費558億円(国費235億円)を要望。「温暖化対策、ヒートアイランド現象の緩和、自然再生などのための公園緑地の整備、緑地の保全、緑化の推進」を提示。都市のヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の保全、樹木による二酸化炭素の直接的な吸収・固定による大気環境の改善、自然と共生する魅力的な都市の実現などを図るため、河川、道路、空港等と一体となった緑地や自然再生などのための緑地の整備や都市緑化を重点的に推進する。

新規要求事項と重点要求事項

 新規要求事項と重点要求事項では、3項目を掲げた。
 (1) 総合的な緑地環境整備の推進(緑地環境整備総合支援事業の拡充)は、都市公園の整備、緑地保全事業などの多様な手法により、水と緑のネットワークの形成を支援する緑地環境整備総合支援事業を拡充し、緑を中心とした都市や地域の良好な景観の形成に対する取り組みやより総合的な緑地環境整備の推進に対する取り組みの支援などを行うもの。
 具体的には、①景観形成・向上の取り組みの支援(良好な景観形成の取り組みを支援するため、対象都市に「景観計画が策定済みまたは策定中の都市」を追加)②都市公園等と一体的に行う公共公益施設の緑化推進(都市公園の整備や緑地保全事業等と一体となって、水と緑のネットワーク形成や良好な景観形成に資する公共公益施設における緑化を対象事業に追加)③民有地における緑化支援の充実(水と緑のネットワークや良好な景観形成に資する緑化地域等における民有地の緑化事業のうち、特に防災機能の向上に資するものを対象事業に追加)④複数の主体による総合的な緑地環境整備の取り組みの支援(広域的な観点からの水と緑のネットワーク形成等に資する都市環境インフラ整備の推進を図るため、複数の主体による事業計画に基づく事業に対し支援を行う)。
 (2) 歴史的景観形成活用への支援は、景観重要建造物などとして、位置づけられたり、位置づけられる歴史的・文化的資産等を公園施設として活用し、これと一体となった都市公園などの整備を支援し、良好な景観形成の推進を図る。また、村全域にわたり、古都法および明日香法に基づく厳しい行為規制により、日本を代表する貴重な歴史的風土が保存されている明日香村において、その歴史的風土を観光資源などに活用することにより、保存と調和した地域の活性化を進める。
具体的には、①景観重要建造物等と一体となった都市公園等の整備の重点的推進②明日香村における歴史的風土の創造的活用の推進――を図る
 (3) 都市公園等統合補助事業の活用による少子高齢化への対応の充実では、遊具のリニューアルや公園施設のユニバーサルデザイン化などを推進することにより、高齢者や子どもの憩いの場やコミュニティ形成の空間としての都市公園の充実を図る。このため、緊急に必要な遊具のリニューアルや公園施設のユニバーサルデザイン化を都市公園等統合補助事業において実施する。

道路局関係の施策

 道路から広がる緑の空間づくりとして、①道路緑化の促進。良好な景観を形成し、二酸化炭素の吸収など、環境への負荷を軽減するため、良質な緑の道路空間を構築する道路緑化を積極的に進めるとともに、公園、河川事業などと連携した都市空間の緑化を推進。地域住民と道路管理者が協力して緑を維持管理することにより、質の高い緑の空間の整備を実施。国道16号(横須賀市)などの道路緑化に事業費382億円を要望した。
 また、②自然環境に配慮した道路整備では、のり面の緑化や地形の改変や生態系への影響を最小限に抑える工法の採用など、自然環境に配慮した道路の整備を推進する。

河川局関係の施策

 高度成長期に代表される機能性を重視した社会・経済のもと、洪水に対する安全を確保するといった単一機能向上を目的とした河川改修などの実施により、生物の生息・生育の場や人と川のつながりなどが分断されてきた。このため、「流域・川・海リニューアルプログラム」として、生物をはじめ、水にかかわる地域の活動など、連続性の総点検や既存施設に不足している機能の確保、さらなる活用を図り、連続性を確保するため、①エコロジカルネットワーク再生計画の策定 ②水系環境整備事業(新規)③沿岸域再生事業(新規)――などを実施。自然再生の視点からの整備を推進する。
 また、「かわまちづくり運動の展開」では、地域の活性化や地域再生の重要な要素として、河川や水辺の持つ多様な機能を発揮するため、せせらぎの復活や清流の確保、地域の特性を生かした整備に取り組み、防火用水やヒートアイランド現象の緩和に資する①都市の水路網の再生、水上マーケットなど ②水辺の賑わい空間の創出、歴史文化がトータルデザインされた ③歴史・文化のかわづくり、河川管理者、都道府県、市町村、地元住民が一体となって散策路などを整備する ④かわとまちのフットパス整備、地域社会の再構築を支援する河川の整備・管理を評価する ⑤地域社会の再構築を支援する事業の重点化 ―― などを実施する。

【緑滴】
THINK OR SINK
鈴木 誠司  (㈱日比谷アメニス)

 表題の THINK OR SINK を正確に発音できる人は、英検2級以上の人でしょう… と冗談はさておき、現在、このキーワードが意味するところが重要であると考えております。
 THINK(シンク)= 考えるという意味です。また、もう一方のSINK(シンク)は沈むという意味です。
 故に、この意味合いは「考えるのか? 沈むのか?」ということです。
 これまで経済が右肩上がりで伸びてきた時代は、ある意味、考えなくても物は売れ、企業経営は安定していたことでしょう。いわゆる、大量生産、大量消費の時代です。
 一方、現在の日本経済はデフレにより、差別化出来ない物、企業は消えてゆく運命にあります。
 もう一歩踏み込めば、規制緩和、環境問題、民活化は好むと好まざると日進月歩ならぬ秒進分歩で進んできているのであります。
 よって、表題である、「今、考えに考えぬき、生き残りをかけるのか?、そうでなければ沈む運命にあるぞ…」がキーワードとなっていると実感いたします。
 さて、われわれ造園業界に属している企業・団体などはこれまで、考える事、またこの考えを広く訴える=企画提案型の重要性を認識してきたでしょうか?
 先に記した現在の流れであり環境問題に関与する “特殊緑化”や国土交通省が発表した“美しい国づくり政策大綱”、本紙にも度々登場している“景観緑三法制定”、規制緩和・民活化に関連し、地方自治法改正に伴った“指定管理者制度”など、我々には順風が吹いているといっても過言ではないと考えます。
 今こそ、考え、声を高らかに上げなくてはならないのではないでしょうか?
 何といっても、環境問題意識やガーデニングブームなどを例にとってもエンドユーザーのニーズは我々緑花産業界の味方であるのですから…
 話は変わりますが、今回のアテネオリンピックでの日本選手団の活躍はすばらしいものでした。日本人の底力を目の当たりにし、国民総寝不足になった今回の成績の裏には、これまでのいわゆる日本特有な“根性論”による訓練方法から、競技に順じた理論的な練習手法・分析能力が浸透してきた結果であると解析されております。
 この、考え抜いた“理論的な…”が十分理解され実行された後、これにプラスされた根性が勝利を導いたのだと…
 THINK OR SINK = 今、考え抜くのか、沈むのか?
 わが国は全世界面積の約0・2%にすぎず、ここに全世界人口の約2%が暮らしております。
 この約2%の日本人が全世界GNPの約16%を生産しているのです。
 今回のオリンピック同様、自信を持ち、的確なマーケッティングと柔軟な発想、これにプラスして我々がこれまで培ってきたノウハウを駆使し、広く提案を行い、美しい国づくりに貢献出来ればと考えております。

3面

 

【技術レポート No.006】
指定管理者制度の概要
(社)日本造園建設業協会
技術調査部長 野村 徹郎

表1 指定管理者制度と管理委託制度の比較)

 

表2 公の施設としての適正な
                管理を確保するしくみ

 

表3    指定管理者制度への移行

 

 


1 指定管理者制度とは

 平成15年9月2日「地方自治法の一部を改正する法律」(改正法)が施行され、公の施設の管理に関する「管理委託制度」の改正により、新たに創設された制度です。
 従来の「管理委託制度」では、地方自治体が公の施設の管理を委託できるのは、公共団体(市町村や土地改良区など)、公共的団体(生協、農協、自治会など)及び自治体が出資する第三セクターなどに限定されていました。
 「管理委託制度」による管理受託者は、委託契約に基づき具体的な管理の事務や業務を執行することができますが、管理の権限と責任は引き続き設置者である地方公共団体が有するものでした。また、施設使用許可など処分に該当する業務は委託できないこととされていました。
 「指定管理者制度」では、地方自治体が指定した「指定管理者」に、使用許可を含む施設の管理を行わせることができるもので一言でいえば「公の施設の管理を代行」するものです。
 ただし、使用料の強制徴収や不服申立に対する決定など、法令上、地方公共団体あるいは長に専属的に付与された行政処分はできません。
 「管理委託制度」とは異なり、地方公共団体は管理権限の行使自体を自ら行わないため、「指定管理者」の管理権限の行使について、設置者としての責任を果たす立場から必要に応じて指示を行い、指示に従わない場合には指定の取消等を行うことができる制度になっています。
 「指定管理者」の範囲については法律上特段の制約がないことから、民間企業やNPOなどを含む法人その他の団体が、議会の議決を経て指定管理者として公の施設の管理を行うことも可能となります。
 この法律の改正により、管理委託制度に基き管理を委託している公の施設は、改正法の施行後3年以内(06年(H18)9月から)に指定管理者制度へ移行することになっています。
(表1 指定管理者制度と管理委託制度の比較)

2 指定管理者制度のしくみ

 指定管理者制度は、公共サービスに対する住民ニーズが多様化している状況を受け、これまでの公の施設の管理に関する考え方を転換し、民間企業が質の高いサービスを提供している事例が増加していることに着目し、行政と民間とのパートナーシップにより、民間事業者の有するノウハウを公の施設の管理にも活用して、公共の利益のために多数の住民に対して均等にサービスを提供することが目的となっています。
 そのためにも、管理主体の範囲について法律上特段の制約はなく、法人格も求められていませんが、公共の利益のために多数の住民に対して均等にサービスを提供することを目的として設置される「公の施設」は適正な管理を確保することが必要であることから、施設の適正な管理を確保するため次のような仕組みを整備しています。
(表2 公の施設としての適正な管理を確保するしくみ)
(表3 指定管理者制度への移行)

3 公の施設とは? (地方自治法第244条)

 指定管理者制度の対象となる公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもって、住民の利用に供するために地方公共団体が設ける施設(地方自治法244条第1項)のことです。公の施設の主なものを揚げると
 公園、運動場、道路、学校、図書館、公民館、博物館、美術館、公会堂、病院、公営住宅、保護施設、保育所、墓地、給水事業、下水道事業、自動車運送事業(バス・地下鉄など)があります。
 しかし、庁舎や研究所など、住民の利用に供することを目的としていない施設や、財政上の必要のために設置する競輪場、社会公共の秩序維持のために設けられる留置場などは公の施設にあたらないと解釈されています。

4 指定管理者制度を  造園にとっての  チャンスとするために

 何十兆円とも言われる公務の市場開放を促進し、民間事業者にとってビジネスチャンスといわれていますが、管理を代行するためには企画力、提案力の強化が必要となり、造園的なノウハウだけではなく、様々な業種との連携・情報交換が必要になります。
 民間企業として造園の活躍する場が増える反面、まったく違う業種が主導権を握ることもあり得ますし、民間企業として収益を得ることも可能ですが当然リスクもあるわけです。
 最近の話題として、東京都の多摩地区に約46haの規模で開園される公園の指定管理者について、民間の事業者やNPO法人を含めた管理者を広く公募したところ17団体の応募があったなかで、日造協会員企業グループの提案が評価されたことにより指定管理者に選定され、平成16年7月1日から平成18年3月31日までの期間で管理を行うことになっています。
 この公園は、多摩ニュータウンの西方に位置し、起伏に富み雑木林に覆われた丘陵地公園で、谷戸部分には湧水が湧き、うるおいのある水辺景観とオオタカ等の希少な動植物を育む自然環境が特徴になっています。
 管理の基本方針は、貴重な動植物を育む自然環境を、都民との協働等により良好に保護・保全するとともに、里山の自然と親しむ場、及びレクリエーションを楽しむ場など、多様なニーズに対応した公園として管理運営を行うものとされ、具体的業務は、公園管理所の運営、園内施設の維持・管理、樹林地・水田・畑・花壇等の管理作業、園内清掃業務、動植物の保護・保全のための企画調整、環境学習活動の企画調整、都民協働事業の企画・運営などとなっています。
 (東京都建設局のホームページから引用:http:// www.kensetsu.metro.tokyo.jp/shitei_kanri/index.html
 この他にも数多くの自治体で公募の動きが活発になっています。本格的に動き出した指定管理者制度をビジネスチャンスとして、多くの会員のみなさまが公の施設の管理や運営企画に積極的に参加することを願います。

女子栄養大香川綾記念
 健康と食生活 第22回
 「正しい食事と健康」

  女子栄養大学 生涯学習講師
  管理栄養士   勝山 登美子 氏

 飽食時代の現在、不足時代とは別の意味での栄養失調(アンバランス)が起こっています。人間には元来、栄養(素)の過不足を調整する能力が備わっていますが、文明が進み、特に今日のような高度情報化社会になるとヒトの動物的感性は鈍くならざるをえません。
 その結果、「食べたいもの=体が必要としているもの」の公式が崩れてしまいました。
 そこで、過去に学びつつ、「正しい食事」の知恵(知識)を持つ必要がでてきました。
 ①正しい食事は、体質を改善し、「体力」・「自然治癒力」を高めます。②正しい食事は、「こころ」をも元気にします。③正しい食事は、「一人ひとり」違います。主役はあなたです。
■全て健康食品
特効食品も禁止食品もありません。1品信仰 1品排除は栄養障害を招き危険!
健康の基本は「栄養」・「運動」・「休養」であり、栄養の基本は「バランス」!
■毎食 =【 主 食 】+【主おかず1皿】+【副おかず1~2皿】を揃えましょう!
糖質エネルギー源 +蛋白質源・脂質源 + ビタミン・ミネラル・食物繊維源
                朝ご飯        +  卵料理  +      野菜類・大豆製品
                昼ご飯        +  肉料理  +      野菜類・海藻・芋類
                夕ご飯        +  魚料理  +      野菜類・きのこ・豆製品
 ▼主食はご飯以外に、パンやめん類やオートミールなど好みで。
 ▼1日のうち、【牛乳・乳製品】 や 【旬の果物】を必ず摂ります。
 ▼味噌・ゴマ・抹茶・きな粉・青のり・梅干し・酢・黒砂糖・落花生 … 伝統食品を毎日少しずつ。
 ▼1日分の調味料の適量を覚えましょう。
 ・砂糖類と味噌はそれぞれ大さじ1杯位
 ・油脂類(バター・マヨネーズ・ドレッシングなどを含む)は大さじ2杯位
 [参考・普通1人分の揚げ物には大さじ1杯位かそれ以上の油が使われます]
 ▼調理法は、「生」「煮」「揚」「焼」「蒸」「炒」「茹」… を組み合わせて。
 ▼その時の食事に過不足があれば、次の食事で調整しましょう。
■食べ方
 ▼食生活にリズムをつけましょう。生体リズムが整い健康を支える土台となります。
 ▼適量を摂りましょう。少食・過食・偏食は、健康を遠ざけます。
 ▼どか食い・まとめ食いは、肥満のもとであり、消化器系統にも悪影響を及ぼします。
                                    女子栄養大学ホームページ http://www.eiyo.ac.jp

4面

【総・支部だより】
景観と緑環境の共生をめざして
                                    佐賀県支部

上 講演を行う太田広
国営吉野ヶ里
歴史公園事務所長

 

下 総会であいさつする
久保和男支部長

 佐賀県支部(会員・29社)は、佐賀市のマリトピアで平成16年度支部総会を開催した。
 冒頭、久保和男佐賀県支部長が開会のあいさつ。
 造園工事業をめぐる受注環境は、公共事業費の削減、コストの縮減などこれまで以上に厳しい状況下にある。
 県業界の実態も、平成7~8年頃のピーク時に比べて受注量は半減しており明るい展望が開けず苦慮している。ところで、先般、我が国で初めての景観と緑に関する法律いわゆる「景観緑三法」が成立したことは、景観と緑環境の共生をめざす我々造園業界にとって喜ばしいことだ。私共は、これを契機としてこれまで蓄積してきた技術・技能や知識を発揮できる場が与えられたことになる。また、一方、県においても昨年、新しいリーダーとして古川知事を迎えて「変革と創造の佐賀づくり」を掲げられ「立県改進」の精神のもと「癒しに満ちた環境の先進県」の実現に向けた決意が強くうかがえる。
 今後、私共は環境の時代の担い手として新しいニーズに応じて、人と豊かな自然が共生する循環型社会づくりをめざした積極的な取り組みを行おう
 ―― と抱負を述べ議事に入った。
 平成15年度の事業報告において、県支部の組織体制と運営について一昨年度までは、県造協との渾然一体化した対応を各々の団体の役割のもとで行ってきたが、平成14年度からは別立て体制に切替えての転換期であるため事業活動面での独自性や指導性を充分発揮するに至っていないが、日造協本部並びに九州・沖縄総支部との密接な連携のもと「県造協」との協調を図りながら事業の推進に努めてきた。
 事業活動としては、① 調査研究(先進事例調査)② 広報活動(機関紙の発行)③ 組織活動(行政機関への提案、要望等)④ 教育・訓練活動(街路樹剪定士認定研修会等)。
 同年度の収支決算報告に続いて、本年度の事業計画に移った。主なものをあげると、① 調査研究では、吉野ヶ里歴史公園の整備拡充にかかわる試験、調査や水辺環境の改善・修景化にかかわる技術開発調査と成果の普及啓発活動(市民協働方式等)② 広報活動では、日本造園学会九州支部佐賀大会を九州造園研修会平成16年度佐賀大会と行政が参画し易い名称に変え、産、学、官の3団体からなる実行委員会を設けて広く市民参加を呼びかけた緑のフォーラムを計画している。
 その他「第6回さが水環境フェア」「佐賀水ネット」なども継続実施する。
 以上事業計画及び予算案について原案どおり可決・承認された。
 さらに、役員の改選では、久保支部長が再選された。
 最後に、日造協県支部と県造協共催による特別研究会を開き、講師として、本年5月、英国・エディンバラ日本国総領事館領事から国営吉野ヶ里歴史公園事務所長に着任された太田広氏をお招きして「文化的資産の保存・活用と公園緑地」と題した記念講演が行われ先進国の公園事情について現地での見聞を踏まえて話され会員一同感銘を受けた次第である。
                                                            (佐賀県支部 事務局長・松本光男)

88クリーンウォーク四国
道路ふれあい月間で実施
             香川県支部

 

 

 
8月8日に行われた
“88クリーンウォーク”のもよう

 毎年8月は「道路ふれあい月間」です。住民のみなさまが道路にふれあうことにより道路の大切さを再認識し、さらに道路を身近に感じて頂くための運動月間です。
 道路の意義・重要性に対する国民の関心と道路愛護の精神を高めることを目的に、全国各地で各種のイベントが行われたことと思います。
 四国地方においては、四国地方整備局と各自治体・各種団体やボランティア等が、目的に沿った各種行事
・活動を行いました。
 その一環として、今年も昨年に引き続き8月8日(日)の早朝に「88クリーンウォーク四国」が四国全域で実施されました。
 香川県支部においても、県造協と協力し70数名が県下6箇所に分かれ参加しました。早朝6時からの交通量の比較的少ない時間帯に1時間歩道や植樹帯の空き缶・ごみ等を拾って心地よい汗をかきました。
 「88クリーンウォーク四国」とは、8月の「道路ふれあい月間」に合わせ、四国霊場八十八カ所や、四国内を「8の字」で結ぶ高速道路の早期実現を目指す意味があります。
 翌日の新聞によると、四国全体で約9千3百人の親子連れらが約2万7千キロを約1時間かけて清掃し、道路の大切さを認識したと報じていました。
                                                                                 (香川県支部事務局)

お知らせ
フェニックスの危機に挑戦

 

 

 

 

 
宮崎県の県木「フェニックス」

 宮崎県支部と7日本造園修景協会宮崎県支部は10月15日、宮崎空港や宮崎市民プラザを開場に平成16年度都市緑化月間講演会「フェニックス危機とその挑戦」を開催する。
 宮崎県では現在、県木「フェニックス」の立ち枯れ被害が相次いでいる。このため、講演会では、今後の拡大を阻止すべく、他県での被害の発生や、さまざまな実験研究など、これまでの知見を共有化することで、被害の拡大を未然に防ごうと、国土交通省九州地方整備局の後援のもと、都市緑化月間の講演会として企画した。
 当日は、第1部として午前10時30分に宮崎空港1階ウェルカム広場に集合。空港駐車場周辺緑地帯で実際の被害を視察。
 第2部は、午後1時30分から5時まで報告会が行われ、①フェニックス問題の経緯と現状報告・福満和徳氏(宮崎県環境森林部)②ヤシオオオサゾウムシの被害状況・田村光章氏(前南九州大学害虫学)③立枯れ病とそれによる被害状況・尾崎克己氏(南九州大学病理学)④ヤシオオオサゾウムシと立枯れ病の対処状況・馬原久年氏(㈱馬原造園建設)――の4つの報告の後、北川義男氏(南九州大学環境デザイン)の進行でパネルディスカッション「今後の課題と取り組み」を実施。
 なお、講演会は無料。講演会の後は、交流会も開催(6千円)する。問い合わせは宮崎県支部TEL:0985・23・6864。

【事務局の動き】 【8月】
2(月)・ 事務局長会議
3(火)・ 公園緑地協会技術委員会
4(水)・ 全国意見交換会北陸総支部
4(水)・ 造園CPD推進委員会
5(木)・ 「広報日造協」編集会議
6(金)・ かながわのみどりを創り、育てる講演会
26(木)・ 全国意見交換会四国総支部
27(金)・ 全国意見交換会近畿総支部
30(月)・ 公園緑地折下功労賞選考委員会

【9月】
2(木)・ 「広報日造協」編集会議
3(金)・ 建設系CPDシステム委員会
6(月) ~10(火)・第46回日本公園緑地全国大会および第20回IFPRA世界大会
7(火)・ しずおかフェア 庭園出展コンテスト審査
8(水)・ 広報セミナー
9(木)・ 国土交通省建専連意見交換会
10(金)・ 植栽基盤診断士判定委員会
13(月)・ 包括的職業能力評価制度整備委員会(造園工事業)
14(火)・ 建設雇用改善推進事業ヒアリング
15(水)・ 全国意見交換会東北総支部
16(木)・ 全国都市緑化祭
21(火)・ 全国意見交換会関東・甲信総支部
21(火)・ 造園工事基幹技能者運営委員会
27(月)・事業委員会(在京・全国)
29(水)・ 建設系CPDシステム委員会