INDEX 広報 日造協 2005年3月10日 第372号
1面

平成16年度 第31回全国造園デザインコンクール
  表彰式を開催 協会長賞にコ嵩さん
春の都市緑化月間
【樹林】
   若者支援と職業能力開発 
      独立行政法人雇用・能力開発機構高度ポリテクセンター建設・造形系 助教授      出口 秀史
愛知万博

2面

第31回全国造園デザインコンクール入賞46作品が決定
審査委員・講評

【麹町箱】
  「公共土木工事と近自然工法」をテーマに講演会を開催  徳島県支部 事務局

3面

【総・支部だより】
 札幌の中心に新しい緑の顔都心再開発事業がスタート   北海道総支部事務局
 東北地方整備局との「意見交換会」を開催           東北総支部

【緑滴】  バラスの舗装 内山緑地建設梶@桂 久諠
【事務局の動き】

4面

【総・支部だより】
 景観緑三法と指定管理者制度について講習会開催     近畿総支部
 紀伊山地の霊場など世界遺産に 観光立県としてさらに期待  和歌山県支部
 神秘・創造山梨の美のテーマに浜名湖花博に作品を出展  山梨県支部

 

1面

平成16年度
第31回全国造園デザインコンクール


表彰式を開催 
協会長賞にコ嵩さん

受賞者、審査員と関係者で記念撮影

表彰状を読み上げる成家会長

表彰式の後に行われた懇談会では、審査員の講評ほか、受賞者の感想が述べられた

 造園設計及び製図技術の向上と奨励のために当協会が主催する第31回全国造園デザインコンクールの表彰式は2月4日、東京・千代田区麹町の弘済会館で開催した。今回は過去最高の388作品の応募があり、入選18作品、佳作11作品、奨学賞17作品が入賞した。最も指導力の優れた高等学校に贈られる「文部科学大臣奨励賞」は岐阜県立加茂農林高等学校が5回目の受賞となった。また、総合的に最も優れた作品に贈られる「6日本造園建設業協会賞」は徳嵩桃子さん(長野県須坂園芸高等学校)が受賞した。

今後も素晴らしい感性育つこと望む
 表彰式では、主催者を代表して成家次男当協会長が「今年はカリキュラムとして取り入れてくれた学校があり過去最高の388作品が集まった。協力態勢にお礼を申し上げると共にお役に立てるよう一層努力していきたいと思う。また、年々レベルは高くなり、審査員としても賞を決めかねるほどである。今後も素晴らしい感性が育っていくことを望んでいる」とあいさつ。
 次いで、添野龍雄文部科学省教科調査官が祝辞。「昨今学校教育のあり方が問われている。教育の根底は、基礎・基本から応用・発展していける人づくり。現在造園教育の教科書も準備されている。これまでの皆様の協力と努力に感謝するとともに、今後も継続、推進・発展を願っている」と述べた。
 また、油井正昭審査委員長は審査について「1月22日一日がかりですべてに目を通し、デザイン性、施工性などを審査した。コンクールは、高校、大学の教育と結びついて技術者の育成に貢献している。今年度末に造園の教科書ができることにも期待したい」と報告した。
 なお、授与式は各賞ごとに賞状と副賞が手渡され、記念撮影が行われた。

コンクールの役割 “大”
生徒のチャレンジの場に受賞者と懇談会開く

 表彰式についでの懇談会は、油井審査委員長の進行で講評の発表とともに参加者全員で意見を交わし合い、今回は地域社会への貢献や使う人の生活を考慮したものが多く見られ、全体的にレベルが向上したという意見が出された。特に全員が共通して、徳嵩さんの街区公園に風力発電の風車を設置したセンスと、友川さんの立体的に浮かび上がる描写力や生活を踏まえたうえでのデザイン性の高さに感心を示した。
 受賞者の徳嵩桃子さんは、「とにかく自然を感じてもらいたい一心で作品に取り組んだ」と語り、図面の描写力の高さについて、その理由を質問された友川さんは、「昔から絵が好きだったのでここまでできたのではないか」と答えた。
 最後に上治正美理事長は、地域の公共空間に高校生の作品を取り入れた事例をあげ、若い人の感性を発表する場を増やすことを提案。「今後、学校のカリキュラムなどにも組み込めるように改善し、生徒がいろいろなことにチャレンジできる環境を整えていきたい」と語り、そのような機会を提供する同コンクールに感謝の意を表した。

春の都市緑化月間
4/1 〜 6/30
各地でイベント

 春季における都市緑化推進運動が4月1日から6月30日までの3カ月間にわたって全国各地で展開される。運動は、4月29日のみどりの日。同週の緑の週間を中心に行われ、緑の愛護の集いや都市緑化基金等への募金活動が行われる。

【樹林】
若者支援と職業能力開発
独立行政法人雇用・能力開発 
機構高度ポリテクセンター 
建設・造形系 助教授
出口 秀史


 

 近年、ニートと呼ばれる若者が増えています。働くわけでもなく、そうかと言って学校に通い教育を受けたり、職業訓練校を受けている訳でもない若者たちです。2004年版労働経済白書(厚生労働省)によると、2003年にはこのような若者が全国に52万人もいると言われています。今では50人に1人がニートと呼ばれる若者であり、2015年には100万人を超える(第一生命経済研究所)という予測もされています。アルバイトなどの正社員ではない就業や、あるいは働く意思はあるが就業できないというフリーター(400万人)とは区別して、ニート(若年無業者)と分類されています。
 ではなぜ、このような若者が増えてきたのでしょうか。一つには、置かれている厳しい就職環境があります。十分とはいえない職業教育のもとで社会に出たものの、企業による若年者の求人抑制等によりなかなか就職できない現実、一方で即戦力を求める企業とのギャップに、無力感、恐怖感、この仕事は自分の求めていたものとは違う、自分には続けていけないというあきらめ感が生まれてしまう。このことは、離職の七五三現象といわれる状況が物語っています。中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が、新卒就職後3年以内に離職する現実です。
 もう一つには、団塊の世代といわれる親の世代への反発があると言われています。一所懸命に働く親たちの決して幸せそうに見えない現実、働くことだけが幸せではないという逃避した考えに向かってしまう。親も子供たちのこのような考えをきっぱりとは否定できずに、ある意味理解を示して保護してしまう。他にも、さまざまなもっと複雑な要因がからんでいるでしょう。
 このようなニートの増加に対して、国も本格的に対策を講じ始めています。昨年12月、厚生労働、文部科学、経済産業など5閣僚でつくる若者自立・挑戦戦略会議は、若者向けの雇用対策「若者自立・挑戦プラン」の取り組みを示した行動計画(若者の自立・挑戦のためのアクションプラン)を取りまとめ、フリーターやニートに対する対策が示されています。計画では、中学生のために実際の職場体験ができる職業教育や、ニートに対しては集団生活をしながら職業体験のできる『若者自立塾』を創設し、全国20ケ所で実施することにしています。他方、職場の教育訓練費を増額させた企業には、法人税額を一部控除するなどの措置も盛り込まれています。
 若者たちのフリーターやニートなどの未就業状況は、所得税や消費税、あるいは社会保険などの収入を減らすなど、国や地方に対して経済的にも社会的にも損失を与えます。また、若者自身も簡単なスキルしか身に付かず、職業能力が形成されないために、なかなか自立ができないなど大きな問題があります。企業や団体、教育機関や職業訓練施設において、さまざまな取り組みの中で若者の職業意識を高め、自立可能な働く能力を身に付けさせていくことが非常に大切です。職場においても、自らの能力アップを図るための人材育成・キャリア形成を具体的に進め、若者が生き生きと働ける職場環境にしていくことがますます重要になっています。今ほど働くための職業能力開発や人材育成が求められている時はないのかも知れません。

愛知万博

愛・地球博3/25 開幕

「自然の叡智」をテーマに
バイオラングなど展示

2面

第31回全国造園デザインコンクール入賞46作品が決定

審査委員・講評

「(社)日本造園建設業協会長賞」を受賞したコ嵩桃子さんの作品

受賞者一覧

 当協会主催、(社)ランドスケープコンサルタンツ協会並びに全国高等学校造園教育研究協議会共催、文部科学省科学省並びに全国農業高等学校長協会後援の平成16年度第9回全国造園デザインコンクールの審査結果が決定した。コンクールは造園の設計及び製図技術の向上と奨励のために実施。応募資格は、一般の部、大学生の部、高校生の部の3部とし、課題はA住宅庭園、B街区公園、C実習作品の3部門。 今回の応募総数は、388点、このうち入選18点、佳作11点、奨学賞17点の計46点が入賞。最も指導力の優れた高等学校に贈られる文部科学大臣奨励賞は、岐阜県加茂農林高等学校が5回目の受賞。さらに、入選作品の中から(社)日本造園建設業協会長賞1点、(社)ランドスケープコンサルタンツ協会長賞1点、全国高等学校造園教育研究協議会長賞2点が選ばれた。なお、詳細は日造協ホームページに掲載予定。

■委員長 油井 正昭(桐陰横浜大学教授)  
 今回の作品総数は388点、今までで最も多くの応募数だった。1974年の第1回は84点だったので5倍近い応募数である。作品審査は部門毎に審査委員全員で全作品に目を通し、慎重に実施した。その結果、入選18点、佳作11点を選定し、入選作品のうち特に優れた作品と指導力に優れた高等学校を特別賞に選んだ。受賞した方々に心からお祝いを申し上げます。 
 今回も課題を十分に吟味して計画した質の高い作品が数多くあった。住宅庭園では、日常生活の利便性、実用性をよく考えている作品が目に止まった。菜園、物置、物干し場などの配置、果樹の植栽などに生活空間への工夫が認められた。街区公園では地域の身近な公共空間として、斬新な着想の公園デザインを追及した作品が良かった。実習作品では大勢で力を合せて作り上げていくプロセスを的確に説明した作品は納得がいった。
 住宅庭園も街区公園も、樹木スケッチの描画力に差が目立った。日頃から樹木を描く練習を期待したい。

■添野 龍雄(文部科学省初等中等教育局) 参事官付教科調査官) 
 今回で31回目となる造園デザインコンクールの審査に昨年に引き続き、参加させていただきました。
 今年度の高校生の応募は、25校270作品と昨年度より学校数は2校減少し、応募数は51点増加となりました。
 多くの作品が、基礎・基本を徹底して学ぶとともに実践を積み上げた結果、質の高いものとなっております。特に、日本造園建設業協会長賞を受賞されました徳嵩桃子さんの作品は、街区公園の構成要素である、運動・休養・遊び・集まり・環境保全そして人が見事に組み合わされたものとなっております。
 今回の文部科学大臣奨励賞は、6作品を応募され、そのうち入選が3作品、佳作が1作品で、1年生からも入選を出すという高い指導力を示した岐阜県立加茂農林高等学校といたしました。
 今後も、より多くの学校が応募され、より質の高いコンクールとなることを望みます。

■上治 正美(全国高等学校造園教育)研究協議会理事長)  
 今年度の応募状況は、一般、大学の部では参加校数および応募総数とも、ほぼ昨年と同様であった。高校の部では参加校数は減ったが、応募総数は約50点増加した。ある学校では、1クラス単位で応募してくれており、これは造園計画、課題研究などの授業に取り入れ、成果の発表の場として造園デザインコンクールを位置付けていただいた。新年度の初めに応募要項を各学校へ送付することが必要であり、これについては主催団体に要望したい。
例年、大学生はデザインコンセプト、アイデアが豊富であり、高校生は製図技術、着色など表現力が優れている作品が多い。今年度、6日造協会長賞を受賞した作品は、高校・街区公園の部門である。デザイン技術、アイデアともに優れた作品であった。

■鎌田 幸生(全国高等学校造園教育)研究協議会副理事長)  
 高校生の応募作品はいずれも力作が多数見られ、課題に取り組んだ生徒の努力や作品を仕上げきった時の満足そうな顔、指導された先生方の苦労をうかがうことができた。
 特に住宅庭園、作庭実習部門に力作が多く「作品を一つ一つ丁寧に仕上げる」という熱意が強く感じられた。しかし街区公園の部は、スケール感がない物、街区公園の認識不足の作品が見られ、街区公園のあり方、時代が求める「身近な公園」について考えていく必要がある。
 コンクールへの取り組みは、入賞の有無を問わず、生徒達が一つの課題をやり遂げ、「達成感」「成就感」を得たことが大切だと思う。今後、本コンクールに一校でも多くの学校が参加することを望みたい。

■岡田 藏司((社)ランドスケープコンサルタンツ協会参与)
 景気の回復がまたれる昨今であるが、民間・公共事業を問わず、コスト削減が命題となっている例が多い。
 今回の作品の傾向を見ると、高校生に現実的な作品が多く、大学生によく言えば独創的・創造的、悪く言えば空想的・非現実的な作品が多くみられたことは、面白い傾向であった。
 私達は日頃、事業等を行っている中で、さまざまな制約が多いが、このコンクールのような場では、若い人達には、この空想性こそが今後の期待を持たせる重要なポイントであるとのことから、大いなる評価をすべきであると考えた。

■山本 忠順((社)ランドスケープコンサルタンツ協会参与) 
 今回初めて審査に参加させていただきました。数多くの力作が全国から寄せられていることに感銘を受けました。特に高校生の部では、昨年より応募数も増え、質の高い作品が多く、街区公園の応募作について言えば、地に足のついたリアリティのある優れたものが見受けられたという、高い評価がなされました。日頃の先生方のご指導の成果と、心強く感じました。
 また、今NHKの朝の、女性造園家が主人公の連続ドラマが話題になっています。審査後の結果を聞かされ、ますます女性の今後の活躍に期待できそうだ、という実感を持ちました。

■高橋 一輔((社)日本造園建設業協会技術委員長)  
 平成16年度の本審査会は、平成17年度1月21日(土)の午前11時から夕方6時頃まで、厳正に実施した。都立農芸高等学校の製図室をお借りしてハードスケジュールで取り行われた。都立農芸高等学校の関係者の皆様に御礼申し上げます。
 応募状況として、全国の高校生の応募がかなり増加していることに、各高等学校の指導の先生方に御礼申し上げます。6日本造園建設業協会長賞として、長野県須坂園芸高等学校造園科のコ嵩桃子さんの作品を選びました。構想の大きさ、環境と省エネも視座に、製図技術も高く、このような「街区公園」が今後出現すると思います。
 本コンクールに高等学校の2・3年生が参画し、将来、高校生の進路の際の評価点になるようにしていきたいと思います。次年度はできるだけ早い時期に応募要項、条件等をお知らせ出来るようにしたいと考えております。そして、一般企業の技術者の応募も多くなるように努力していきたいと思います。
 6日造協の会員企業におかれましても、本デザインコンクールは31回も続いていおり、造園界(産・官・学)においても評価されていますので、入選作品、佳作作品については、今後世の中に一般公開を含めてアウトプットしていくための建設的なご意見がありましたら、6日造協の事務局までメール・FAXをいただければ幸いです。

【麹町箱】

「公共土木工事と近自然工法」をテーマに講演会を開催

徳島県支部 事務局

 

 日造協徳島県支部(森本明男支部長)は、徳島県造園緑地協会(板東孝会長)との合同により、徳島県建設センターにおいて、「公共土木工事と近自然工法」と題して講演会を開催、90余名が参加した。
 講演では、叶シ日本科学技術研究所(高知県高知市)の福留脩文氏をお迎えして演題(テーマ)である「公共土木工事と近自然工法」について実施施工した事例に基づいて、スライド等を使用しての説明がなされた。
 「近自然工法」とは何か? ということだが、地球規模の環境問題が世界全般に問われ始めたのが1970年代で、破壊された自然生態系の復元工法は、ヨーロッパのスイスやドイツで誕生。河川改修や森林の整備として、道路、都市の基盤整備に活用された。
 工法の特徴は、河川の水際や森の林縁部のような異なる生態系が接する境界領域に着目することで、そこにはそれぞれの生態ピラミッドの底辺を構成する多様な生物が出現し、各生態系を保つことができている。
 過去の公共土木工事等の開発行為により、環境が破壊されたものを人間の手によって、いかに回復させられるかが、「近自然工法」の役割である。
 河川は、今まで改修工事により、コンクリートで固めた手法が多くなり、昔いた魚などが棲める環境が失われてきた。その自然を取り戻すために「近自然工法」を取り入れるようになった。
 魚などを呼び戻そうとするために、河川では石を置き、置き方によっては流れが変わるし、また、石の組み方によっては、環境が変わる。
 また、岸に直接向ってくる強い水の流れを岸から遠ざけるといった伝統工法を用いるといった手法の解説があった。
今後は、いかに「近自然工法」を取り入れていくかについて、取り組む必要があろう! 会員など参加者は、熱心に耳を傾けられ、盛会に終了した。 

3面

 

【総・支部だより】

札幌の中心に新しい緑の顔
都心再開発事業がスタート


北海道総支部事務局

 

 

創成川アンダーパス

 

  北海道総支部の事務局が入居しているビルの前を南北に流れる創成川河畔(写真)には、シダレヤナギやライラックの木々が生い茂り、札幌の代表的な緑のシンボルとなっています。
 その創成川沿いの中心部を通る市道には、現在南側と北側の2カ所にアンダーパスが設置されていますが、自動車交通や環境の改善等を図るため、2つのアンダーパス(片側2車線)を連続化する札幌都心部再開発プロジェクトが承認され、雪融け後の本格的な道路工事に先立ち、1月17日から、市民に長年親しまれてきた河畔のシダレヤナギなどの伐採、移植作業が始まりました。 昭和46年に現アンダーパスが整備されたときに植栽されたシダレヤナギでも樹齢34年、それ以前からのものはおおよそ樹齢50年と、全部で2百本あり、ほかにもライラックが3百本ほどあります。
  この計画の実現に向けて、今は立派な大木に成長し、街並みを彩っている樹木を工事中一時的に移植し完成後復元して残す方法はないか、あるいは伐採するかについて、市民の間でさまざまな意見が出ていました。事業主体の札幌市は、樹木の伐採等に対する市民感情に配慮して、学識経験者による「緑を感じる都心の街並み形成計画策定委員会」を設置して計画案を策定し、並行して「市民千人ワークショップ」や「市民懇談会」などを開催し、そこで計画案の説明や市民レベルの議論が行われてきました。特に、シダレヤナギについては、大半が胴枯れ病により内部が侵されていること、加えて昨年の台風18号による損傷などから、19本を移植して残し、他は伐採、ライラックは全て移植し、いずれも工事完成後植栽復元するということで、計画がスタートしました。
 この計画は、自動車交通の円滑化と安全、騒音等の道路交通環境の改善だけではなく、南北約9百m、幅57mのアンダーパス地上部に「潤いと憩いの場」を創出しようとするものであります。
 完成した暁には、東西に延びる現在の大通公園と、テレビ塔のところでクロスし、南北に流れる創成川沿いの、樹木と遊歩道等を配置した親水空間とが一体の緑地帯となり、札幌の中心部に新しい「緑の顔」が出現するものと期待されています。 なお、この工事は平成20年度完成を目指しています。

東北地方整備局との「意見交換会」を開催東北総支部 

飯沢 幸雄
東北総支部事務局長

意見交換会には70名が参加した

 東北総支部では、平成17年2月16日(水)、仙台市内ハーネル仙台において、技術研修会ならびに東北地方整備局との意見交換会を開催した。
 この日の宮城県内は発達した低気圧の影響で、今年一番の大雪となり、高速道路が全面通行止めとなるなど、交通網に影響が出て、出席できなくなった人もいたが、約70名の会員が出席した。
 技術研修会は、「指定管理者制度」をテーマに、当協会の野村徹郎技術調査部長から、指定管理者制度の解説と、鞄比谷アメニスの伊藤幸男総合経営企画室長から、東京都発注の公園指定管理者第一号となった都立小山内裏公園の事例の紹介など、造園業界として本制度と取り組む課題について講演をいただいた。
 東北地方整備局との意見交換会には、東北地方整備局から黒田憲司建政部長、高橋克茂都市調整官の出席をいただき、事前に東北総支部から提出していた@ミニ防災公園の増設についてA植物維持管理業務の明確な位置づけについてB平成17年度の緑化関係予算の見通しについてC東北地域の河川工事に多自然型工法の採用についてD街路樹剪定士の活用についてE防風・防雪林の保護育成についてF異業種による共同企業体の取り扱いについて――の7項目について行った。
 ミニ防災公園について、「災害に強い街づくりを勧めていく上で、公園の整備は重要な課題で、植栽の補助など、重点的に整備していく」。また、植物維持管理業務については、「国土交通省として、経審の完工高X1評点を3年ぶりに見直している」との説明があった。
 河川工事での多自然型工法の採用について、「専門工事業者を活用し、可能な限り分離発注していく」。専門工事業者・中小企業者の活用については、「市町村にも伝えている」。
 さらに、街路樹剪定士の活用については、「剪定士は樹木の継続的な管理に有用で評価しており、活用をPRしていく」との回答をいただいた。
 そのほか、異業種による共同企業体の取り扱いは、「今年の1月に異業種JVに関する研究会を開催しており、研究会で年度内に結果をまとめ、17年度に報告する予定」との説明もあり、専門工事業者への分離発注、街路樹剪定士の活用など、要望の趣旨をご理解をいただいた。

【緑滴】

バラスの舗装

内山緑地建設梶@桂 久諠

 新宅雅也がまだSB食品の現役マラソンランナーの頃(古いね)「僕の高校時代はバラスの道で練習したものです」というのを聞いたことがある。
 彼が西条農高・日体大を経てSB食品に入社したことを知っていたので、西条の田園地帯のバラス(正しくは ballast 砂利)の道を走る新宅の姿を想像し、ほほえましく思ったものである。 
 今、マラソンの最高記録は、男子が2時間4分台に、女子が2時間15分台に入っているので、東京オリンピック当時に人々を驚かせたアベベの記録(2時間12分11秒)や1979年の第1回東京国際女子マラソンのジョイス・スミスの記録(2時間37分48秒)は、歴史の彼方のタイムになってしまった。
 ところで、マラソンのように長い距離を走る競技は、トレーニングによる運動能力の向上に加え、ランニングシューズの性能や道路の舗装状態が記録に大きく影響するのではないかと思う。
 正月恒例の箱根駅伝の記録で見てみよう。この駅伝の名物は、5区の山登りであるが、この区間(現在は20・7q)のタイムを関東学連の資料で調べてみると、第25回大会(昭和24年)を境に区間記録が10分以上も短縮されているのに気が付いた。
 なぜ急に記録短縮ができたのか、疑問が解けないので、私は古い写真を手に入れ、色々調べてみた。
 すると、この区間は、この頃のバラス道路からハードな舗装に改良されているのである。記録短縮の鍵は、道路の舗装改良だったのかと、自称マラソンランナーの私は自分を納得させた。
 最近は、バラスの道路など、よほど山奥にでも行かないと見られないが、マラソン選手は今でもバラスの道で走り込むことが多いようだ。
 アスコン舗装などに比べ、バラスの方が足に優しいからなのだろう。
 そういえば公園の園路もハードな舗装より、土にバラスを混合した舗装の方が、人の歩行空間としては優れているように思う。

高度ポリテクセンタープレゼンや CADなど5講座           技術者向けセミナー実施へ 

 技術者のための少人数制セミナーを開講する高度職業能力開発促進センター(高度ポリテクセンター)は2005年に行われる土木・造園技術者向けCAD・プレゼンテーションセミナーの受付を2月1日から開始する。
 講座は、従来から好評の@「造園設計のための2次元CAD・図面作成編」(AutoCADと造園専用CADの操作と活用法の短期取得・7月20〜22日)、A「造園設計のための2次元CAD・ユーザー事例編」(テンプレート活用や印刷のノウハウ、電子納品について習得・11月9、10日)引き続き開催。
 新たにB「造園設計のための2次元CAD・緑地の環境評価とプレゼンテーション」(図面管理とプレゼンテーション、環境評価について習得・06年2月6、7日)、C「造園技術者のための提案書作成・ランドスケープ・デジタルプレゼンテーション」(デジタル写真の加工・編集とマイクロソフト社のパワーポイントの習得・10月5、6日)、D「土木CAD実践技術」(電子納品対応図面を課題にCADの基礎から学ぶ・8月29・30日/06年2月20、21日)――の3講座を実施。
 料金は5講座とも2万円で、10時から4時45分まで2日間(@のみ3日間)。 コースの詳細は、www. apc.ehdo.go.jp まで。
 問合せは、同センター 043・296・2582。

事務局の動き】

【2月】
1/31〜2/2(水)・造園工事基幹技能者認定研修会(大阪)
3(木)・ 財政・運営検討特別委員会作業部会
4(金)・ 「広報日造協」編集会議4(金)・第31回全国造園デザインコンクール表彰式
7(月)・造園施工管理技術検定委員会
7(月)・造園学会街路樹委員会
10(木)・造園CPD企画会議
14(月)・神奈川県造園建設業協会30周年記念式典
14(月)・財政・運営検討特別委員会作業部会
16(水)・愛・地球博財務委員会
16(水)・東北総支部指定管理者制度講習会
18(金)・近畿総支部景観緑三法及び緑の都市づくり講習会
21(月)・長野県造園建設業協会通常総会
22(火)・中央職業能力開発協会理事会・臨時総会
22(火)・国土交通省法人監査
23(水) 〜25(金)・造園工事基幹技能者認定研修会(広島2)
23(水)・正副会長・常任委員長合同会議
23(水)・国土交通省公園緑地課との意見交換会
25(金)・戦略開発特別委員会
25(金)・造園・環境緑化産業振興会講習会
28(月)・財政・運営検討特別委員会作業部会
【3月】
3(木)・広報日造協」編集会議4(金)・ 技術委員会
4(金)・雇用改善推進事業助成金説明会
8(火)・正副会長・常任委員長合同会議
8(火)・群馬県中小企業団体中央会指定管理者制度講習会(講師派遣)
9(水)・建設系CPDシステム委員会
10(木)・総務委員会財務部会
14(月)・総支部長会議
16(水)・財政・運営検討特別委員会作業部会
17(木)・国際花と緑の博覧会協会評議員会
18(金)・総務委員会(全国)
18(金)・建設業適正取引推進機構評議員会
22(火)・公園緑地全国大会IFPRA世界大会理事会
23(水)・財政・運営検討特別委員会専門部会
23(水)・公園緑地管理財団評議員会
25(金)・都市緑化基金理事会
29(火)・都市緑化技術開発機構理事会
30(水)・第2回理事会

4面

【総・支部だより】
景観緑三法と指定管理者制度について講習会開催
             近畿総支部

講習会のもよう

講演会終了後は講師の方々と意見交換会も行われた(中央は高梨雅明課長)

 近畿総支部主催による講習会を2月18日大阪市北区内の山西福祉記念会館3階大ホールで開催致しました。講演の講師には、高梨雅明国土交通省都市・地域整備局公園緑地課長をお迎えし、日造協本部より野村徹郎技術調査部長が参加、開催しました。会場には、近畿地方整備局、近畿圏内の主要自治体の方、そして、各府県支部会員にご案内したところ、国、自治体から50名、支部会員約80名の計130名が参加されました。 講演は、昨年12月に施行された「景観緑三法」が、「景観法」「都市緑地保全法等の一部を改正する法律」「景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の3つの法律からなっていること。また、この法律は各地域の多様な特性を生かし、景観形成・維持をどう具体的に推進していくか。また、緑の景観は、社会的共通の財産であることから、国の財政支出も同時に制度化されているなど、昭和31年に都市公園法制定以来の画期的な法律であります。 また、「指定管理者制度」は、2003年9月の改正自治法により、「公の施設」の管理委託を、民間業者、NPOなど、様々な団体に委託することができる制度であること。公の施設の範囲も、公園施設・体育施設・福祉施設・療養施設・バス・地下鉄などの交通機関も含まれるとの概要説明がありました。しかし、残念ながら民間には指定管理者としてのノウハウの蓄積経験がなく、多くの困難な問題にぶつかっていることも報告されました。 講演終了後、講師の方々と意見交換会を行い、新しい法制度のもと、官民一体となって、激動変革の時代にあっても緑の基盤づくり、そして造園の高度な技法を次の世代へ残し、継承していく重要性を参加者全員が確認することができました。また、地球規模で悪化の一途をたどる温暖化、特に二酸化炭素排出の縮減計画は、京都議定書の発効により現実的な数値目標を制定するという厳しいものになりました。そこで、二酸化炭素の吸収サイクルに低コストで長期間効果を維持させる手法はやはり、森林樹木等植物によるところが国際的にも高く評価されています。我々協会員は、担い手となるべく経営基盤を強化し若い技術者の育成、緑化植栽技術の研鑚を行い、技術の共有化を図っていくことが専門工事業の生き残り策と考えさせられました。
(近畿総支部 事務局)

紀伊山地の霊場など世界遺産に
観光立県としてさらに期待

         和歌山県支部

世界遺産に登録された大門や壇上伽藍

 古くから「近畿の奥座敷」と呼ばれた、観光立県「紀の国」和歌山県の高野・熊野を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が昨年世界遺産登録されました。
 和歌山市、田辺・白浜、串本・新宮の観光主要拠点に加え、県下11市町村にまたがる和歌山の背骨ともいえる広範囲の部分がこれに加わり、今後ますます「観光立県」としての発展に、内外を問わず、さらに大きな期待が寄せられ、県下造園界は大きな節目を実感せざるを得ない状況となってまいりました。
 私共造園業界が常日頃担当させて頂く、造園空間の多くは、健康的で快適な住民生活の社会資本である一方、来県される方には、重要な「観光資源」、または、それに「準ずる観光資源」の役割をも担っているといえます。
 世界的ボーダレス化の流れの中、また経済合理性のみを追求する風潮から、世界が均質化の傾向を強めつつあります。そんな中で地域特性豊かで、文化度が高く成熟感のある、より高品質な造園空間が益々求められる時代が来つつあると考えます。自然を相手とする造園現場は、机上理論や技術のみでは成立しません。地域に根差し、地域の自然と文化を熟知した造園業界が古来より継承蓄積した伝統造園技術とこれを足場に近代的で科学的な新技術の研究開発に努め、協会員がお互いに切磋琢磨し合いながら共進化し、この登録を契機に時代の要求に即した造園空間の創出、築造整備、保存に努め、地域社会に貢献できるよう一丸となって造園空間つくりに一層の力を入れて取り組んでまいりたいと思います。
(和歌山県支部 事務局)

神秘・創造山梨の美のテーマに
浜名湖花博に作品を出展

             山梨県支部

「神秘・創造山梨の美」をイメージしたデザイン

浜名湖花博に出展した作品は、中央の胡蝶蘭が富士山をイメージしている


 

  昨年、浜名湖花博(JFF)を控え、山梨県農務部花卉農産課より設計コンペ参加の依頼があり、応募の結果、県の代表として花博に出展することになりましたので、その企画内容やその後の対応等について紹介させて頂きます。今回は、作品のなかに地域性を出すことが条件になっておりましたので、「神秘・創造山梨の自然美」をメインテーマとして協会内の若手の有志が集まり取り組みました。
 山梨といえば日本を代表する山々に囲まれ自然が豊かであることから、神秘の自然美とその恩恵を受けて育まれる花卉類とを要素として、以下のコンセプトでデザインしました(図)。
 ▼水晶をイメージしたアクリルキューブの集合体によるデザイン▼ラン類を宝石に見立て、あたかもショーウインドーに並んでいる宝石のごときレイアウト▼立方体の集合体の数は5個とし、富士五湖として表現▼中央の一番大きな立方体は富士山をイメージし、垂直に積まれた立方体は昇仙峡をイメージ▼背景は水晶柱をイメージしたミラー素材の板をランダムな方向に並べることにより、奥行き感を出し、また、全体としては南アルプスの山並みをイメージ▼紅葉から雪の積もる山頂をイメージした植え込み、その上を覆う雲を花によって表現。図面では、平面的に見えるが、背の高い物(ルピナス)等を適宜配置し、植栽地盤にもアンジュレーションを付け、より立体的な植栽空間を演出――以上のような提案でございましたが、とにかく資料作成の日程が3月末とのことで、皆さん多忙の中、早速実行委員会を組織し担当を決め進めていきました。材料資材の下見、特に中心部のアクリルケースに入れる胡蝶蘭については、並べた状態で花のラインが富士山の稜線をイメージすることをポイントとして、納入先と何回も打ち合わせをしました。
 制作には5月18日、19日と10人で2日をかけ、初日は朝4時出発で現地には8時に到着し早速作業に取りかかりました。
 慣れない地でとにかく資材の不足が心配だったので、最初にホームセンターの場所は確認しておきました。やはりハプニングはあるもので背面パネルのミラー素材のフィルムに傷が付き、材料調達に名古屋まで行きました。
 しかし作業メンバーも現場の第一線で活躍している人達なので手際よく、予定通り2日間で完成させました。 一般公開の前日、JFFによる審査が行われ、結果は銀賞を頂き、その後AIPH国際コンテストでも銀賞を頂きました。一般公開(5月22〜30日)の期間中には県造協との合同視察があり、各社の役員の方にも見学して頂きました。また、ディスプレイ中心部の胡蝶蘭は見学者も思わず足を止め、記念写真を撮影している光景が見られ努力が報われた気持でした。 夏も過ぎた頃、再度山梨県農務部花卉農産課より、秋に山梨県の施設である「明野フラワーセンター」にて浜名湖花博で制作したものを展示して欲しいとの依頼がありましたので、制作を10月19日から21日、展示は10月いっぱいとの日程で進めました。
 展示場所がステージ上(高さ80p)と言うことと、装飾用の鉢花の種類が少ないことが問題になりましたが、前面の溶岩縁石を低くすること、鉢花寄せ植え部分をなるべく傾斜を付け、より立体的に見えるようにして解決し、鉢花の花の華やかさは、こまめに生花市場に行き花つきがよく、見栄えのするものを選定しました。 期間中、季節はずれの台風による大雨に逢いましたが、室内ということで影響はほとんどなかったことがなによりでした。
 「神秘・創造山梨の自然美」をテーマに企画制作したこのようなイベントを振り返り、県造協会員とも一致団結出来たことや、多くの若い会員が参画して得られた色々な経験は大きな成果だと思いました。
 また、いわゆる植木屋・花屋と色分けされますが、植木屋でもこのようなことが出来るんだと自負し、これを機に造園業界が一層発展することを願い、ご協力頂きました皆様に感謝を申し上げて結びといたします。
(山梨県支部 事務局)